20 STRONG: SOLAR SENTINELS / TOO MANY BONES / HOPLOMACHUS VICTORUM
ダイスを20個使用する Chip Theoryの新システム 3つのテーマでバトルや冒険を楽しもう
ソロ区分:ソロ専用ルール・目標クリア型
日本語対応:なし
以前クラウドファンディング情報でお伝えした、Chip Theory Gamesの新システムが届いてプレイしたので紹介。
基本のシステムとしては20個のダイスを使って遊ぶゲームで、そのうち3つはステータスのカウンター、残りの17個は赤が1個、紫、青、緑、黄色が各4つずつという構成になっていて、赤はすべての面がヒット(当たり)、紫は5つ、青は4つ、緑は3つ、黄色は2つの面がヒットになっている。どの色も1面はクリティカルヒットの2点ダメージの面がある、というのがダイスの基本的な内容。
これらを敵のカードに割り振ってダメージを与え、倒すと即時の報酬がもらえたり、取っておいて後で使用できるアイテムとして扱えたりするという仕組みになっている。
プレイヤーのステータスは体力を表すHEALTH(ハート)、振りなおし回数と所持できるアイテム数を表すTACTICS(四角)、遭遇終了時に回収できるダイス数を表すRECOVER(矢印)の3つで、どれも初期値を超えて増加させられ、最大は6となっている。
言ってしまえば基本のルールはこれだけで、あとはテーマごとの特別ルールと、遭遇時、取得後の各カードの特殊能力でプレイの違いを出しているという塩梅。
ダイスは毎回好きなだけ振れるので(敵の能力などで制限されない限りは)、回収の能力と、各色のダイスの当たり確率とで相談しながら個数を決めて、あとは運しだいという遊びかたと言える。
クラウドファンディング情報の記事に「これだけだと単純すぎるのでは」と書いたのは、半分あたり、半分外れという感じで、どのテーマで遊んでも結局は運と確率次第という点では当たっていて、テーマとカードごとの特殊ルールで、振れる数や割り当てられる色、振り直しや回収の制限などが様々にかかっていろいろ悩む要素は多くなってはいる、というところでは外れていたという印象になった。
今回のクラウドファンディングでは、Solar Sentinelsが基本セットとして付属していて、オプションとしてToo Many BonesとHoplomachus Victorumを追加できるというプロジェクトになっていて、せっかくなのですべて付属するオールインでプレッジ。
個々のテーマセットについて紹介していくと、まず看板となっている新規タイトルSolar Sentinelsはスペースオペラ風のバトルもので、3つのセットの中では一番シンプルなルールとなっている。
3つのデッキの中から戦う相手を選び、倒していく。いずれかのデッキが尽きたらボスに挑むことができて、倒せばクリアというのが基本のルール。その他にも「体力1の状態で勝利する」などのミッションカードが存在し、クリアできていないものがあったり、敵のデッキが残っていたりするとボス戦で増援が増えるなどのペナルティがあるので、どこまで片づけて、どこまでは許容するかのタイミング判断も重要になっている。
次はCTGの既出タイトルからToo Many Bones。
これは既定の日付以内にボスに挑む必要がある点、敵の他に2択のクエストや開錠の必要がある宝箱などがあり、バトル一辺倒ではなく冒険のテイストが含まれている点、また、TMBならではのダイスのハズレ面をストックして特殊能力を発動できたりする点がSSとは異なっている。
もうひとつもCTG既存タイトルのHoplomachus Victorum。
こちらはアリーナ形式のバトルもので、ピラミッド型に配置されたデッキを渡り歩いて中ボスを倒し、全員倒したらメインのボスに挑むという内容。
こちらは最初からすべてのダイスが使えるわけではなく勧誘して使用できるダイスを増やすという要素があるのと、敵を倒すとボスがパワーアップするInfluenceが蓄積されていくので、パワーアップの見切りをつけて中ボス~メインボスにいつ挑むかという戦略的要素がカギとなっている。
この中では(もともとのひいき目もあると思うが)Too Many Bonesが一番気に入った。
バトル以外にもできることがあって戦闘一辺倒ではないところと、ダイスのハズレの目にも使い道があるところが、ダイスゲームとしての面白さを増していたと感じられる点が大きかったかな。
全体的な感想としては、ダイスの面が当たりかハズレしかないので運任せ感が強いところ、ダイス目操作の能力があまりなく(基本振り直しで何とかするスタイル)、ハズレ面に価値があるのはTMBのみというところ(ほかのセットにもハズレ面が使用できるアイテムやスキルがあるが限定的)はかなり致命的なのではと感じた。
基本システムが多少問題があっても、ダイスの使用方法にバリエーションがあれば追加ルールなどでフォローしようがあるのだが、ダイスの刻印自体はどうやっても変えられないのでゲームシステムに限界が来るのが早いのではないかという心配が付きまとってしまう。
(これは同様のダイスゲーム、クォーリアーズでもあった問題で、初期セットにバランスの悪いダイスが含まれていたせいで、最後まで拡張ではフォローしきれないいびつさが残ってしまった)
さらに、カードに特殊ルールが記載されるという性質上、字が細かくなりがちで言語依存性も高く、それでも小さいスペースに収める都合上文字数が限られるせいで「この時はどうするの?」的な疑問が出やすく、なかなかスムーズなプレイがしづらいところも気になった。
また、ルールブックが基本のものと各テーマセットのもので2つに分かれていて、それぞれキャラメルボックス状のカードパッケージに入る小さいタイプなので(基本ルールはミニブックタイプ、各テーマセットは折りたたんだ1枚のシート)参照しづらく、2つを見比べながらプレイする際の遊びやすさに支障が出ていると感じた。
気になる点ばかり書いてしまったが、それでもCTGならではの質の高いコンポーネント(すべてのカードがプラスチック製で、SSのものはすべてのカードが箔押し仕様になっている、単なるカウンターにしか使わないチップが他の製品と同じくウェイトが入った本格的なポーカーチップクオリティ、初回版はトラブルがあって溶剤の匂いが抜けていないのと、ラメが偏ってしまって一部目が見づらいものがあるものの、見目の良いカスタムダイスなどなど)、一つのダイスセットでさまざまに遊べる汎用性など、いいところも無論たくさん存在する。
ただ、やはりクラウドファンディングに参加した自分としては、CTGならではの面白さを期待していたわけで、そこそこの面白さ(あくまで主観)では納得度が低くなってしまうのは仕方がないところだろう。
Too Many Bonesやほかのシリーズとまでは行かないものの、やはり高価になりがちなコンポーネントを使用しているというところからも、やはり日本語でのリリースはあまり期待できないが(ワンチャンくらいはあるかも)、ローカライズされれば遊びやすさは飛躍的に向上すると思われるので、なんとか期待したいところ。