FINAL GIRL
ホラー映画の主人公となり、殺人鬼と対決せよ。Hostage Negotiatorのシステムを継承した姉妹編
ソロ分類:ソロ専用・目標クリア型
日本語対応:なし
立てこもり犯と人質解放の交渉をするHostage Negotiater(邦題ザ・ネゴシエーター、以下HN)のVan Rider Gamesの新作。カタカナ表記の同名タイトルが既に存在しているようなのでややこしいが、それとは別物。
基本システムは前作から継承して手札ビルド+ダイスロール。
(HNの紹介記事はこちら)
今回のテーマはB級ホラームービーで、ファイナルガールとなってKiller(殺人鬼)と対決するという内容。
(ファイナルガールって上記のネーミング被りでもわかるとおり、このゲームのオリジナルではなく、映画とかの類型用語みたいなものだったんですね(ウィキペディア情報)。
まあいわゆる「ホラー映画で生き残るタイプの女性主人公」というやつです。もちろんこのゲームでは失敗すればバッドエンドになってしまいますが……。
この記事では、混乱を避けるため、一般用語として「ファイナルガール」、ゲームタイトルとして「Final Girl」、プレイヤーキャラクターを「主人公」と記載してます)
上に書いたとおり、基本はHNと同じく、手札からアクションカードをプレイして、ダイスロールして出た星の目の数によって大成功、成功、失敗となり、決められた効果(ペナルティ)が発動する、というもの。
対するKillerはターンごとに移動、攻撃などの基本行動を行うほか、Terrorカードをドローして記載された特殊効果を発動する。
今作からの要素としてマップがあり、各スペースにはKillerと主人公のほかに、モブのVictim(犠牲者)が配置されていて、KillerがVictimを殺害するとより強力になっていく。
それに対して主人公がVictimを連れて出口から脱出させることができればボーナスが得られ、逃がしたVictimが一定数に達すると主人公が覚醒してUltimate Abilityが発動する、というヒロイックな要素もある。
もう一つの独自要素として、モジュラー式の構造がある。各シナリオにはロケーションとKiller、主人公2人がセットになっていて、この3つは個別に組み合わせてプレイすることができるようになっている。
リリース時点でシナリオは典型的殺人鬼のHans+湖畔のキャンプ場Camp Happy Trailsをはじめ、人形遣い、悪夢モノ、幽霊モノ、蛮族モノなど5セットあり、自分は最初の3つを購入。
また、シナリオボックスはフタがマグネット式に着脱可能で、片方はKillerの能力ボード、もう片方はマップに使用するというギミックもある。
まあ、ユニークである、以上のものではないが、物理媒体のゲームならではの手触りの面白さがあって好印象。
Killerのターンに引くTerrorカードでは、HNのようにカードタイトルのセリフでホラーあるあるシチュエーションを再現していて、「なんだあの物音? 行ってみようぜ」カードとか、「もう駄目だ、助からない!」カードみたいな、モブの迷惑行動がそれっぽいのが気分を盛り上げてくれる。
バトルでも、最後の1HPは、主人公もKillerも裏面がランダムのトークンで、HPが0になっても、トークンを裏返してハートのマークがあればその数値のHPで復活(なければそのまま死亡)、というこれもホラームービー的な固唾を飲む感じが表現されている。
ちなみにFinal Girlではこの手のゲームとしては珍しく、Killerとの相打ちが「究極の犠牲」として勝利となる。これもまた「らしい」要素と言えるだろう。
HNに比べると、アクションカードの内容などに多少緩和された感はある(失敗時のフォローが多少されるようになった)が、まだダイス目に翻弄されがちなこのゲーム、BGGのフォーラムで読んだり、実際プレイして得たTIPSをいくつか挙げておくと、
- ダイス目だけで勝負する(2個の時)のは最後の手段。基本的に2枚支払うのを前提に計画する(ダイス目だけだと成功率は56%しかない。2枚支払えば89%まで上がる)
- プレイしたカードを再使用できるのは2ラウンド先。特に移動系カードを使い切ってしまうと詰みやすいので、0コストカードがいつ手元に戻ってくるかは確認しておく
- デッキビルドではなく手札ビルドであることを意識する。購入コストは使い切れない分がリセットされて無駄になるが、手札は上限の10枚を超えない限りは持ち越せるので、後半に向けて強いカードをストックしていくようにする
- ルールブックにあるとおり、カードを捨てて時間(カード購入コスト)を稼ぐアクションは重要。計画(購入)フェイズで欲しいカードを意識してラウンドを終えること。1足りない、1余るはわりと起きがち
- アクションフェイズとKillerフェイズの間に計画フェイズがあるのを利用する。アクションフェイズの終わりに追加支払い用のカードが手元になくても、計画フェイズで帰ってくる0コストカードや、購入したカードで2枚払えれば生存率は上げられる
という感じ。
まだいろいろシナリオは増やせそうなので(定番のゾンビ、吸血鬼、エイリアン物がまだなかったりとか)、展開が楽しみなゲームとなっている。