ボドゲ「トーキョー災都心」ネタ解説・第3回:シナリオ、シナリオMODカード

ネタ解説もこれで最後。シナリオのネタバレになるのでどういう形にしようかと思ってましたが、折り畳みができるようなのでそれを利用してみました。

繰り返しになりますが、各シナリオの結末に触れているものもあるので、その点を了承するか、プレイ済みのシナリオのみ開いて読むようにしてください。


【各シナリオ名をクリックすると展開します】

シナリオ00「ようこそトーキョーへ!」

元々このチュートリアルシナリオは予定には入っていなくて、余裕があったら後日サポートサイトでフォローしようと思っていましたが、テストプレイした2組のグループどちらからも要望が出たので急遽実装したという経緯になります。

どういう形で実装するかは結構悩みましたが、ビデオゲームのチュートリアルや、BGAなどのプレイアブルルール説明などを参考に、プレイヤー人数に関わらず基本的な要素をプレイするようにしてみました。


シナリオ01「マンハント」

なんとなく、シティーアドベンチャー系TRPGの導入は人探しモノだろうという先入観(?)があって、それに従って作ったシナリオ。

プレイ順は自由ですが、基本的には多くの人が最初にプレイするシナリオになるだろうと、このゲームの空気感が伝わるような内容にしたいと思い、開幕から割とダーティな展開だったり、ラストの決断もどっちが正解とは言い切れないような内容になっています。

ハリウッドアクション映画名物、なんか積んである果物とかひっくり返しながら暴走する車。
選択によっては街に登場するようになる報酬のフォロワー、再生能力者。構想段階だともっとモブっぽかったんですが、書いてるうちに妙にキャラが立ってしまった

シナリオ02「トーキョーダンジョン」

人探しが終われば本番のダンジョンハック、ということでダンジョンものテーマで作成したシナリオ。

このシナリオから『サイト』探索も解禁して、プレイに慣れてもらおうという意図もあります。

映画版「バイオハザード」を意識したトラップ。失敗したら即死
クリア報酬のレトロなウェアラブルPC。初期の「女神転生」シリーズに登場した「COMP」が元ネタ。
もう一つの報酬アイテム。動力は鉛バッテリーとシズマドライブ。

シナリオ03「ハイストデイ」

このゲームの雰囲気を表すもう一つのシナリオ、現金輸送車強盗シナリオ。

このシナリオはビデオゲーム「PAYDAY」をけっこう意識した内容で、プランニングから決行、警備部隊との銃撃戦と、元ネタのゲームに沿った流れで進行します。

ただ、本当に事前の準備などをやっているとプレイ時間が長くなってしまうので、そのあたりは抽象的な処理にとどめたりと、ゲームに合わせたアレンジは入れています。

バッグのデザインもPAYDAY合わせ。フレーバーテキストはSTALKERから。
この「アサルト・イン・プログレス」という単語もPAYDAYネタ。
装甲マスクの元ネタもPAYDAY。デザインは有名ハンバーガーチェーン店のマスコットキャラ。

シナリオ04「ワイルドボール・ラン」

このシナリオのモチーフはタイトルから分かる通りワイルドスピード+キャノンボール。

現代を舞台にしたシナリオならレース物は欠かせないだろうと作成しましたが、シナリオ自体は割と難産で、2回くらい作りなおしてます。

キャノンボールはレース物の映画なのに順位の描写が非常に緩く、80年代映画だなあ、という感じですが、このシナリオもそれにならって細かい順位判定などはなく、なんとなく進めると優勝争いになる、みたいな雰囲気になっています。

カードタイトルはアニメ「よろしくメカドック」のOPより。
ライバル車その1。元ネタはタイムボカンシリーズの「シャレコウベバギー」。
ライバル車その2。元ネタはチキチキマシン猛レースの「ガンセキオープン」+チェルノブイリ原発の「石棺」。ドライバーは原始人ではなくギリースーツのマクミラン大尉(ビデオゲーム「CoD:MW4」より)。
中ボスとして登場する怪異「ターボババア」。「~ババア」系怪異はバリエーションが無数にあって絞り切れませんが、これが一番有名なのでは。
元ネタは70年代スーパーカーブームの時に登場した日本産スーパーカー「童夢・零」。レースで八百長に応じないのが非正規ルートっぽい(実際には正規ルートというものは存在しませんが)というのがこのゲームならでは、と思ってます。

シナリオ05「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・トーキョー」

映画撮影シナリオ。タイトルは「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」から。「ワンス・アポン・ア・タイム~」系のタイトルはたくさんありますが、映画業界ネタというとタランティーノ映画のこれですかね。

実際にはもう一つ、カルト……というか超B級映画の「闇武者」というVシネがあり、そのDVDに収録されていた監督インタビューにも強く影響を受けている(「あとはノリで~」のセリフとか)のですが、そこを語りだすと長くなるので割愛。

このシナリオは初期に作成されたというのもあってカード数も少ないシンプルな展開ですが、他のシナリオとのプレイ感合わせのために開発終盤に一度オーバーホールしています。

ロボットの元ネタは映画「ロッキー4」より。カラーリングは仮面ライダースーパー1。

シナリオ06「カース・コンテイジョン」

最後の2つのシナリオは終盤ということもあり、ややシリアス気味に舵を切っています。

シナリオ全体の元ネタは都市伝説「NNN臨時放送」。シナリオで登場した現象とおおむね同じく、放送終了後に「明日の犠牲者はこの方々です」というアナウンスが流れるというもの。

このシナリオと次の「願望機」は連作となっていて、最後に登場する「黒焦げの死体」は、シナリオ07の冒頭で言及される、「願望機に到達する方法を知っていると吹聴していた男」と同一人物であるということが、入手する報酬アイテムと合わせると類推できるようになっています。

中ボスは有名な怪異「メリーさん」。
ボスは建造物という変わり種。「NNN臨時放送」の背景にもなっているゴミ処分場そのもの。
報酬の「ビンテージマイク」は怪異関係ではなく、戦時中に連合国向けプロパガンダに使われた「東京ローズ」のマイクというネタ。

シナリオ07「願望機」

シナリオ全体の元ネタは小説「ストーカー」の終盤のエピソード。印象が強烈なので、ビデオゲームの「STALKER」にも登場しています。

ゲーム制作の当初から、最後のシナリオはこのネタにしようと決めていましたが、製作自体はボリュームのせいもありかなり手間がかかっています。

また、この話の舞台は東京タワー(をモチーフにした建造物)にしようと決めていて、そのために実際に東京タワーを外階段で登ったりもしています。

↑4枚目に添付された写真が上層展望台内部。ゲーム内の描写と同じく、切子状の鏡面になっています。

キーとなるアイテム「リンフォン」。2ちゃんねるの洒落怖スレッド発祥の怪異で、パズルを解くと地獄が解放される(らしい)といういわくつきの呪物。
このシナリオではリンフォンで開くという設定になっている、アキバ近郊の美術館の門のオブジェ、というのは上野美術館に展示されているロダン作の「地獄の門」のこと。これも取材で見学してきました。

このシナリオでは4人のPCと対になる敵キャラを出そうと決めていました。ちょっと特殊なルールを詰め込みすぎて、テキスト欄の文字の大きさが可読限界ギリギリになってしまいましたが……。

中ボスの一人、ハンター。風体はビデオゲーム「ディビジョン」に登場するハンターモチーフで、マスクの模様はキン肉マンソルジャー風。
ストーカーは特に元ネタはないですが、消音スナイパーライフル、VSSヴィントレスを持たせてみました。
コレクターは「サタスペ」で使用していた持ちキャラをカメオ、というかスターシステム出演。
4人目は特に元ネタなし。キャラデザに悩みましたが、「鬼畜メガネキャラで行こう」と決まったらすんなりデザインできました。
そして実質的なラスボス、古い歴史を持つ都市伝説、怪人赤マント。構想段階だと加藤保憲的なイメージでしたが、最終的にはシャアっぽい感じに。

DLCシナリオ「トーキョー・サイトシーイング」

リリース後に製作した追加シナリオ。話の元ネタは映画「ローマの休日」+「エスケープフロムLA」。

話自体は早めにできていましたが、ゲーム的なギミックが難航し、結局これまでのシナリオギミックの総集編みたいな内容になりました。

自作カードを使用するという制限上、報酬カードがデッキに入れられない場合があるので、回避手段としてBOTカードとして入手するようにしました。若干オーバーパワー気味ですが、DLCのご祝儀的に許容としています。

シナリオタイトルはゲーム名のダブルミーニング元になっている「サイトシーイング」が、発端となる観光の依頼とうまく一致したので採用しました。ゲームの締めくくりとしてもちょうどよかったのではないでしょうか。

ゲストキャラのアーシャ皇女。元ネタ「ローマの休日」のオードリー・ヘプバーン演じるアン王女を若干意識。名前の「アーシャ」はアナスタシアの愛称で、姉のタチアナと合わせてロマノフ王朝の皇女からいただきました。
タチアナに取り憑いた怪異「サトノケ」。「サトノケ」という怪異はこのゲームのアレンジで、元ネタは「ヤマノケ」。2ちゃんねるの洒落怖スレが発祥で、女性に取り憑くという設定も同じ。登場するのが山なので、トーキョーに出没するのは里、ということで名前を変更しました。この顔を見てアーシャにそっくりと感じるPCたちはなかなかの慧眼ですね。

最後に小ネタ的にシナリオMODカードの元ネタ解説。

このフレーズはロバート・ブラウニングの詩「春の朝」から、というか、それを引用している赤毛のアンの結びのフレーズから。

怪異とかそういうネタではないですが、印象に残っているフレーズだったので使用しました。


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