ボドゲ「トーキョー災都心」ネタ解説・第2回:『サイト』、アーティファクトカード

前回は基本的なカードについての解説だったので怪異ネタが少なかったですが、今回は異常地帯『サイト』とそれにまつわるアーティファクトなので多めになってます。
まずは『サイト』カード。
この『サイト』というのも小説「ストーカー」の旧題「路傍のピクニック」のピクニックから連想した単語を採用しています。キャンプサイトとかのサイト。

X-01~04「異状なし」
以前のイラスト進捗の時にも触れてますが、ポーズは「仕事猫」で、指差し確認しているのは布を結んだナット。
ビデオゲームのSTALKERではアノーマリーを探るためにボルトを投げてますが、原作の小説や映画版ではナットを投げてます。これは映画のシーンをオマージュして布付きのナット。


X-05~07「焦熱陽炎」
これも小説「ストーカー」より。小説では特に名前がついてなかった気がします。
ゲームとしては良さそうなので採用したものの、見えないもののイラストを描く必要に気づいて難儀しました。

X-08,09「背後から延びる手」
心霊写真などをはじめ、ポピュラーな怪異。ジョジョの奇妙な冒険第4部でもストーリー的にも重要な役割を果たす取り扱われ方をしてましたね。

X-11~14「次元扉」
キャラをランダムな場所に飛ばす、状況によっては有利にも働く怪異。見た目は有名漫画のアイテムから。

X-15~17「ループトンネル」
これは怪談「旧青山トンネル」から。実在の場所ですが、東京の青山ではなく三重県にある心霊スポット。
トーキョーではリングの認知干渉により、「ある」と思えば実際に存在してしまうので、名前に引き寄せられて発生しているという設定。

X-18,19「適応者との遭遇」
この「適応者」とは『サイト』に適応した人間のことで、独自の文化を築いています。
元ネタは小松左京の小説「日本アパッチ族」より。架空のディストピア大阪を舞台に、隔離された流刑地で鉄を食べる新人類として適応していくというSFで、かなり古い作品ですが今読んでも面白い話です。

X-30「八尺様」
ネットでは萌え化されて一部で人気の八尺様ですが、トーキョー災都心ではフラットウッズモンスター(3Mの宇宙人)と習合した存在として設定しています。
元ネタは2ちゃんねるの洒落怖スレ。フラットウッズモンスターはアメリカの都市伝説で、いわゆるUMA。


X-38,39「くねくね」
発祥は怪談投稿サイトから2ちゃんねるのオカルト板に転載された、はっきり見てしまうと発狂してしまうという怪異。
イラストはくねくねの描写を読むにつけ、なんかガソリンスタンドとかの客寄せオブジェ、チューブマンを連想したので。
見た目も1996年のオリンピックに使用されたものそのままですが、非常に怪異というかSCPっぽい雰囲気があります。


X-40「生命なき王」
いとうせいこうの小説「ノーライフキング」より。
ノーライフキングも原作から離れて様々な媒体でアンデッドの存在としてオマージュされてますが、トーキョー災都心に登場するのもアンデッドのようなサイボーグのような見た目になってます。
金色なのは黄金バットをちょっと意識。絶対に強い!
小説自体もネット黎明期を舞台に、ゲームを絡めた都市伝説を扱っていて面白いのでおすすめです(映画は未見)。
続いてアーティファクト。
アーティファクトという名前はいい代案が思いつかず、「ストーカー」そのままの呼び名を残してしまってちょっと後悔してます。
今だったら「マクガフィン」とかにするかなあ。

A-01~03「邪眼」
邪眼という存在自体はそこそこありふれたものですが、見た目としてはマンガ「NARUTO」に登場する写輪眼のイメージが強いですね。
あの漫画は気軽に目を取ったり付けたりしてるのがすごい面白いなと思って読んでました。

A-04,05「空飛ぶギロチン」
カルト映画「片腕ドラゴン対空とぶギロチン」より。
この映画はビデオゲームのストリートファイターシリーズに登場するダルシムの元ネタのキャラが出てきたり、そもそも主人公からして無茶苦茶卑怯な戦い方をするのとかツッコミ所にあふれている怪作なので、機会があればぜひ見てほしい。

A-06「コトリバコ」
2ちゃんねるオカルト板より。
一族を根絶やしにするために製造された呪物で、中には言うのも憚られるようなものが封じられているという設定。
これは有名なアイテムなので、特に捻りも無しに描いてます。

A-12「視肉」
中国の古典「山海経」などに登場する食べ物。
実際には菌類の一種とも言われていますが、目がある肉、ということでマンガ肉と「みんなのうた」に登場する未確認お菓子物体、パップラドンカルメのイメージを合成してポップな感じにしてみました。


A-16,17「カシマレイコ」
元ネタ不詳の都市伝説で、口頭の伝承から発生した怪異の常としてバリエーションが非常に多い。
「カシマさん」という存在の場合では男性の設定の場合もあり、おおむね四肢を切断されたという特徴が共通している部分。
それに鹿島神社の存在が習合して「助けてくれる存在」という設定が加わったのが面白くてトーキョー災都心ではそのニュアンスも導入、ダークヒーロー的な存在になっています。
背後霊のように現れ、手足を切り離して攻撃したり、包帯を巻きつけたりして戦うという妄想のイラストです。

A-18「適応者ニモ」
『サイト』カードにも登場した適応者のフォロワーバージョン。
元ネタの「日本アパッチ族」にも二毛二郎というキャラがいて、海外のメディアに「ジロー・ニモー」と誤読されてジェロニモと呼ばれるというエピソードがあるのですが、そのネタと「誰でもない」という意味の「ニモ」をかけてます。
あと次郎という名前からラーメン店主っぽいイメージも。
前回の予告ではシナリオカードの解説も書く予定でしたが、『サイト』とアーティファクトでそこそこの長さになったのと、ネタバレ対応のためにシナリオ周りは後日別途書くことにします。
シナリオごとに1記事だと短すぎるので、簡単、普通、難しいの難易度で分けて3回とかにする感じかなあ。
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