サンダーストーン

THUNDERSTONE QUESTにつながる系譜の原点 ドミニオンミーツファンタジーRPGのデッキ構築

ソロ区分:ソロ専用ルール・目標クリア型
日本語対応:日本語版


原語版は2009年、日本語版は2010年に発売と、結構古いゲームながらときおり話題に出てきて気になっていたゲームなのだけど、当然絶版でプレミア価格になっていてあきらめていたところ、縁あって譲り受けることができたので紹介。

ちなみに海外では続編のTHUNDERSTONE ADVANCEが2012年に、THUNDERSTONE QUESTが2018年に発売され、QUESTは現在進行形で追加シナリオがリリースされている。

 

ゲームの出自としては、身もふたもないことを言ってしまえばドミニオンクローンのファンタジー版といったところで、サプライからカードを購入してデッキを強化する「村を訪れる」アクションと、強化したデッキでダンジョンから出現してきたモンスターを倒す「ダンジョンに入る」アクションのどちらか(パスに近い「休息」もできる)を選択していくというのが大きな違いとなる。

 

マルチプレイではそうして倒したモンスターのカードに記載された勝利点を多く取得したプレイヤーの勝利となるが、倒したモンスターのカードもデッキに入って圧迫される(一応金貨値が設定されてたりはする)ので、できれば勝利点の高いモンスターを効率よく狙っていくというのが基本の戦略となる。

他にユニークな点として、明かりの概念があり、ダンジョンの奥にいる敵ほど多くの明かりが必要となり、足りない場合は攻撃力が大きく下がってしまう。できれば手前に来るまで待ちたいが、そのすきに他のプレイヤーに取られてしまうリスクもあり、明かりのパラメータを多く持つカードをデッキにどう入れていくかも戦略の一つとなる。

もう一つの特徴は、キャラクターがレベルアップしていくというところ。同じキャラクターでも、モンスターを倒すことで入手できる経験点を消費することでより上位のカードと交換することができ、強力なキャラに成長していく。ただし高いレベルほどカードの枚数が少ないので、サプライ切れになる前に他のプレイヤーより早くレベルアップさせる必要があり、そのタイミングを計るのも重要なポイント。

初期状態が左で、最大LV3までアップできる。名前が変わるのが芸コマだが、欲を言えばイラストも変わってほしかった

 

ちなみにタイトルの「サンダーストーン」はデッキの底付近に隠されていて、それを誰かが手に入れるのがゲーム終了トリガとなっているのだけれど、そのカードの勝利点がたったの3点というのが何とも地味で笑えてしまう。むやみな逆転を嫌った結果なのだろうけど、もう少し点が高くても罰は当たらなかった気はする……。

神によって与えられ、何世代にもわたって争われた「始原のサンダーストーン」(3点)。ボス格のモンスターは8点。

 

上記までの説明は多人数プレイでのルールだが、ソロプレイも大きくシステムは変わらず、村を訪れたり、攻撃力不足だったりしてモンスターを倒せなかった次のラウンドに一番ダンジョンの出口に近いモンスターが村に入った体でゲームから除外されて、カードの勝利点ぶんがペナルティとして減算されていき、ゲーム終了時に獲得した勝利点がそれを上回れば勝利となる、というもの。

 

古いゲームというのもあってルールブックの記載が直感的でなかったり(上記のソロルールのモンスターが進む条件の記載もあいまいで、ネットで調べるまで間違った適用をしていた)、カードの数値もなにを示しているのかぱっと見分かりづらいなど洗練されてないところも多々あり、ひと昔前の荒々しいゲーム性を楽しめる度量が必要かもしれない。

(一番混乱したのは、「ショートソード」などの武器はキャラに装備させる必要があるのに、「ファイアーボール」などの呪文はたとえキャラが一人もいなくても発動するというところ。拠点から長距離砲撃してるのだろうか?)

まあ、出来がいいゲームをやりたければ、イーオンズエンドをやるか、日本語版は出ていないが最新版のQUESTをやるのがいいと思う。

 

マニアックな見どころとしては、翻訳自体はグループSNE(安田均・柘植めぐみ)が行っているというのがある。詳しい事情は分からないが、インタビューの雰囲気からするとグループSNEが持ち込んでアークライトゲームズがパブリッシングを行った、ということなのかもしれない。