FROSTPUNK: THE BOARD GAME

同名ビデオゲームがボードゲーム化 都市の指導者として、過酷な状況を乗り切れ

ソロ区分:COOPルールソロプレイ・目標クリア型
日本語対応:なし(日本語版発売予定あり?)


極寒の環境で放棄された都市の廃墟にたどり着いた人々を導く指導者として、様々な施策を行い、集団を生存させていくという都市サバイバルテーマのビデオゲームのボードゲーム化。

写真の通り中央に据えられたジェネレーターを模したオブジェが目を引くパーツとなっている。
(ちなみに写真のものはキックスターター限定のシェーディングモデルで、リテール版は無塗装となるとのこと)

 

原作と同じく資源は限られ、人々に熱、食糧、住居が提供できなければ健康が損なわれ、いずれは死に至ってしまう。だからといって児童労働をさせたり、厳しい決断を強いたりしていると住民の不満が高まるなど、メンタル面でのケアも同時にしていかなければならない。

そうして厳しくなる環境、欠乏する資源、老朽化して不安定になるジェネレーターなどをなんとかやりくりして、シナリオの目標をクリアして生き延びることができればクリアとなる。

 

元がビデオゲームということもあり、ゲーム手順はかなり多め。

  • ラウンドを進めてイベントがトリガされるDAWN(夜明け)フェイズ
  • 朝に起きるイベントを解決するMORNINGフェイズ
  • 熱を発生させるジェネレーターを維持管理するGENERATORフェイズ
  • 変化する環境を処理するWEATHERフェイズ
  • 発病効果を処理するPREPARATIONフェイズ
  • 実際にワーカーを配置してアクションの解決を行うメインのACTIONフェイズ
  • シナリオ関連のイベントが発生して処理を行うDUSK(日没)フェイズ
  • 食糧供給処理を行うHUNGERフェイズ
  • ワーカー回収と住居の過不足処理を行うNIGHTフェイズ

と、フェイズだけでも9つあり、それぞれのフェイズにも細かく処理が行われるので、ゲームの進行管理はかなり重い。うっかり処理抜けなども起こりやすいので、気が抜けずなかなかしんどいプレイになりがち。

サマリーカードにびっしり手順が書いてあるうえに、1行に複数の処理があったりして気が抜けない

上記のうち、カードを引いてランダムにイベントが起きるフェイズがMORNINGとDUSKの2回ある上に、GENERATORとMORNINGでは状況が悪化していき、PREPARATIONとHUNGER、NIGHTで3回もペナルティ処理が行われるという、かなりマゾい展開が毎ラウンド待ち受けている。

トラブルと環境変化がカードドローで行われ、その合間にワカプレアクションを行うという点では以前紹介した「ROBINSON CRUSOE: ADVENTURES ON THE CURSED ISLAND(ロビンソンクルーソー:呪われた島の冒険)」に似た雰囲気は感じた(キツさはこっちの方が上に思える)。

 

MORNINGやDUSKで引くカードにはたいてい選択肢が用意されていて、その決断の結果によってシナリオカードがDUSKデッキに追加される。下手な空約束をしてしまうと、数ターン後(いつ来るかは運次第)に手痛いしっぺ返しが待っているので全く油断できない。メインのイベントカードも内容を読んでからデッキに混ぜるので、「前にやるって言いましたよね? 忘れたとは言わせませんよ?」とばかりに遅延起動されるので(当然他のあれこれで忙しくて忘れている)、ワンオペ(ソロプレイ時)指導者の悲哀をいやというほど味わうことができる。

 

名前の通りGENERATORフェイズではマップ中央のジェネレーターオブジェを使用し、火力アップのために追加した石炭キューブを上から投入する。ジェネレーター内部はところどころに板が仕込まれ途中でキューブが引っかかるようになっていて、下まで落ちたキューブだけをジェネレーター故障の判定に使用するという仕組み。

上から見たジェネレーター。最下段は引き出しになっていて、落ちたキューブをオーバーヒートスロットに割り当てていく。

ジェネレーターは改良するとパーツを追加してよりキューブが途中にとどまりやすくなり(写真は改良済みの状態)、暴走までの猶予が多少緩和されるが、投入の衝撃でとどまっていたキューブが落ちることもあり、場合によっては入れた数より多くのキューブを処理する必要も出てくるので、ジェネレーター修理のアクションのタイミング見極めも重要になってくる。

 

アクションフェイズは一般的なワカプレと同様、資源を回収したり、建物の建設や改良、地形タイルの配置、建物の起動などを行う。ただしその際もジェネレーターからの熱が行きわたっているかの判定を行い、そうでないアクションをした場合は凍えて発病するというペナルティが課されてしまう。

 

一事が万事この調子で厳しいサバイバルを強いられるゲームだが、まあそれは原作からしてそういうものなので不満を言う人は多くないとは思われる。

ただ原作の雰囲気を再現するために処理が煩雑になり、そのせいで処理漏れなどが起こりやすい点、外枠含めたタイルの配置や巨大なジェネレーター(向こう側が見づらい)、多数の管理ボードなどでテーブルが埋め尽くされ、自分の80×160cmのプレイスペースでは詰めても場所が足りず、少なくとも1×2m程度のスペースが必要となる点にも注意が必要だろう。

 

マルチプレイとソロの違いは、マルチの場合は交代プレイとなるため大きな差はないが、PREPARATIONフェイズで使える職業アクションが1つのみになるのと、アクションを強化できる市民カードの枚数がマルチより少ない代わりに補充の特別アクションができる点くらい。マルチのほうが有利だがそこまでの差はないのではないかと思われる。

 

自分はキックスターターで英語版に参加したので、その後に日本語版のアナウンスがあってショックを受けた……記憶があったのだけど、今調べてみてもそのような記事は見つからなかった。何かの勘違いだったのだろうか……?

 

テーマ、処理、コンポーネントの物理のどれもが重量級でプレイにはかなりの気力が必要となるが、原作ファンやサバイバル共同体テーマに興味がある人はチェックしてみてもいいかもしれない。


Frostpunk: The Board Game