UNBROKEN

失うことからすべてが始まる ダンジョンの奥底から脱出を図るサバイバルアドベンチャー

ソロ区分:ソロ専用・目標クリア型
日本語対応:有志和訳あり


キャッチコピーはシグルイの冒頭の一文から引用したが、文章の通り、ダンジョン内で壊滅したパーティーの生き残りが、脱出をかけて素材をかき集めて間に合わせの武装をし、飢えをしのぎながらサバイバルしていくという内容。

 

ボドゲのキックスターターに詳しければ知っている人も多いと思うが、このゲーム、内容以外で有名になっていて、KSで資金調達は成功したものの、パブリッシャーのGoldenBellStudios(GBS)が送料設定を低く見積もりすぎていて、あとから追加の送料を請求し、拒否した出資者には送付を資金調達まで延期するという通達を出したという経緯がある。

(それが2018年ごろの話で、追加送料を支払っていない出資者には、2022年現在でもアメリカとその周辺以外には届いていない)

当然プロジェクトは炎上し、GBSの強硬なコメントや、本来禁止されているパンフレット用の小包を使用した送付、バッカーには届かないのにAmazonには並んでいる、など様々なトラブルが発生して、結果的にGBSはKSからBANされるという事件にまで発展してしまった。

 

その後もデザイナーのArtemはポケットマネーで順次バッカーに送付しているらしいが、個人で出来る範囲には限界があるだろうし、出版社選びをミスったばかりにキャリアにケチが付いた上に、何年もストレスにさらされ続けている心中は察するに余りある……。

ということで、ArtemはさすがにもうGBSとは縁を切っているし、1PGのソロボドゲランキングの投票締め切りが近いということもあって、金がArtem本人に渡るならいいかとBGG経由でコンタクトを取って追加の$10を送付、ようやくゲームを入手したので紹介。

 

前置きがだいぶ長くなってしまったが、ゲームとしてはリソースマネジメントが主体のPush your Luck(チキンレース)カードゲームとなる。

基本は遭遇デッキを2枚引いて1枚選び、そこに書かれている効果を適用するという流れで、それによってEffort(努力値。このゲームにおける体力や気力など、生きる意志を総合した値)を回復したり、木や金属などのリソースを別のリソースに変換したりして、武器のアップグレードに使用したり、階層のボス情報を偵察して戦いに備えたりしていき、4階層目のボスを倒すことができれば(そしてそのあとの飢餓判定で死ななければ)クリアとなる。

Effortと時間を4支払って食糧を手に入れるか、木材を支払ってEffortを手に入れるか……

ただし、際限なく遭遇デッキを引いてしまって書かれている時間を消費した結果、残り時間が0になってしまうと、ボスと戦闘する際に不意打ちを受けて不利な状況で戦わなければいけなくなってしまうので、どのくらいの残り時間でボス戦に突入するかは悩ましい決断になっている。

 

この手のゲームにしては運の介在する範囲が少なく、スキル、遭遇のデッキのランダム引きと、遭遇するボスの種類、戦闘中のボスの攻撃以外はランダム要素はない。その代わりに1回攻撃するのにもリソースが必要で、ボス戦開始時点で必要な準備ができていないと途中で詰むことも容易にありうる。

サバイバルというだけあって資源はカツカツで、無駄な資源をため込む余裕はないが、遭遇カードの内容によって必要な資源が決まっているので、職業ごとの特性や、ボス戦で入手したスキルなどをうまく活用して備えていきたい。

Effortだけで3種類、他にリソースが5種類あり、それらを限られた時間の中で賄っていかなければならない

 

ソロ専用ゲームの常として難易度は高いが、失敗しながら要求されるリソースや戦闘の肌感などを身に着けていき、運を味方につけられれば、ダンジョンから生還することも不可能ではないはず。

(この紹介を書いている時点では、何度か惜しいところまでは行った(一番惜しかったのはラスボスを倒した後、ぴったりの値で飢え死にした回)ものの、まだ脱出に成功してはいない)

幸いリトライはそれほど面倒ではないので(遭遇デッキとスキルデッキをリシャッフルすればよい)折れない心で何とかクリアを目指していきたい。


ややこしいことに、ボックス同梱のルール、公式サイトで現在公開されているもの、有志翻訳のもとになった版それぞれバージョンが違う。基本的な内容に違いはないと思われるが、唯一同梱のトラベルサマリーチャートは、食糧消費判定の必要リソースが誤っている(食料が必要なところがEffortアイコンになっている)ので注意