ネモの戦い ~海底二万マイルを越えて~
「海底二万里」をモチーフにしたネモ船長のサバイバルアドベンチャー。様々な障害に打ち勝ち、自らに課した目的を果たせ
ソロ分類:ソロ専用ルール・スコアタ(目標クリア)型
日本語対応:日本語版あり
ネモ船長とその潜水艦「ノーチラス号」を操り、次第に狭まってくる列強各国の包囲網を破りつつ、開始時に選んだ「科学」や「探検」、「戦争」などの動機の勝利条件を満たすべく、様々なイベントをこなしていく、というアドベンチャーゲーム。
基本はソロ用のルールだが、バリアントとして複数プレイに対応している。逆のパターンはよくあるが、オマケで多人数というのは珍しいように思う。
勝利条件はVP(勝利点)で判定され、250点以上は「成功」、184点以下は「大敗北」など段階で分かれているが、その得点の計算方法は動機によって異なり、たとえば「探検」だと驚異ポイント1あたりVP7となる代わりに軍艦の撃破ポイントはそれぞれ額面からマイナス1されるのに対し、「戦争」だと驚異ポイント1当たり2VP、軍艦の撃破ポイントは1隻あたり+2となるなど、取るべき行動が異なっているのが特徴。
ゲームの進行は、事前に作られたイベントデッキからカードを引いて解決し、その後ダイスロールによって各海域に船が配置され、その後アクションポイントを使ってプレイヤーのアクションを行うという流れ。
イベントデッキの底のほうに仕込まれた(どこにあるかはある程度ランダムになっている)フィナーレカードをドローしたらそこで終了で、イベントを解決して点数計算となる。
ラウンド冒頭に引いたり、アクションで追加ドローできるイベントカードは、その場で処理する「プレイ」、判定が必要な「テスト」、保持して条件を満たしたら使用できる「キープ」があり、こなせばVPにつながる内容となっているので、うまく利用してゲームを有利に進めたい。
アクションはイベントカードの追加ドローや宝探し、船の襲撃など多岐にわたり、上記の動機によって必要な行動を効率的にこなす必要がある。
イベントや攻撃などの成功判定は目標値に対してのダイスロールで行うのだが、その際に、船のリソースを「賭ける」ことによって修正値を加えることができるのが特徴。
ただし、「賭け」というだけあって、これを使用して判定に失敗した場合、賭けた能力値は失われてしまう(成功すれば帰ってくる)。ボーナスだからといって安易に使っているといずれ手痛いしっぺ返しを食うという、リスクが一体になった仕組みになっている。
冒険する各地の海はエリアごとにスロットが設けられていて、はじめは空白だった部分に未確認トークンが乗り、商船→軍艦→強化型軍艦と配置される船がグレードアップしていく。
戦闘目的の動機でなくても、ある程度数を減らしておかないと、これ以上船が配置できなくなった時点で敗北となってしまうので、配置時のやりくりや船のグレードアップなど、最低限の戦いへの備えは必須となっている。
ただし、船を沈めたりと、目立つ行動をしていると「悪名」のパラメータが上昇し、列強から目を付けられるようになっていくので注意が必要。一定段階で援軍が追加されるほか、平和的な動機の場合は途中で強制敗北となる場合もある。
強力になっていく敵船に対して、ノーチラス号もアップグレードが可能で、沈めた船を点数化する代わりにサルベージして素材にすることで、改造カードを装備することができる。
それでもカバーしきれないピンチの際は、乗組員を犠牲にしてしのぐことも。
犠牲になった乗組員は基本的に戻ってこないので、VPペナルティ(生存時の点数が得られない)も含め、使用は慎重に検討したい。
ここまでの説明で分かるとおり(これでもかなりかいつまんでいる)、非常に要素が多く、得点の方法も様々なため、行き当たりばったりにプレイしていくと点数が停滞しがちなので、限られたAPを使って、どの行動が動機の倍率が高いVPに結び付くのかをしっかり意識して行動するのが重要になっている。
個人的にもネックに感じたのがこの点数の部分で、さまざまに倍率や修正がかかって計算されるため、終盤になっても自分がどのくらいの点数を稼いでいるのか見通しがつけづらいのが、ゲームの難易度を実際よりも上げているように思えた。
概算でもいいので、ボード右上のVPトラックを利用して、得点要素を獲得するたびにメモ的にVPを記録したほうが、目安がつけやすくプレイしやすいだろう。
実際にゲームが終わったら、ちゃんとしたVPを計算するのだが、これは付属の各VPマーカーを使わず、BGGに投稿されているエクセルの計算シートを使用するのがおすすめ(要登録)。
自分は上記の計算シートを使用してプレイしている。要素ごとに数値を入力するだけでいいので楽だが、VPの計算上点数だけでなく、タイルやカード枚数も入力が必要なのには注意。
ちなみにこのゲームには別冊として点数に応じたエピローグが記された冊子が同梱されているのだが、A4サイズに単色のイラストと数行のフレーバーテキストがあるのみで、正直なぜわざわざ付属させたのか、疑問に思ってしまった。
このゲームも例にもれず誤記やエラッタがそれなりにあり、特に船タイル配置についてのエラッタは難易度を大きく変える内容なので、忘れずにチェックしたい。
エラッタにない誤記などもちらほらみられ、気になる部分は公開されている原語ルールと比較してみるなどの苦労が必要なのも、毎度のこととはいえ残念。
ネモの戦い、一番最初に読むカードがこれというのが安定のA社クオリティという感じだなー pic.twitter.com/z6ZeAy9c1H
— だいすけ (@dice_k00) January 9, 2022
いろいろと複雑で分かりづらいところもありつつも、さすがBGGのソロプレイランキングの常連というだけあって遊びごたえもあるので、重いゲームが遊びたい気分の時は選択肢に入れてもいいだろう。