ボドゲ「トーキョー災都心」ついに完成!&ボドゲガレージ出展情報&デザイナーノート

先週の木曜に段ボールが続々届き、ついに「トーキョー災都心」のすべてのパーツがそろいました。

メインのコンポーネントと言えるカード類やPCボード、キャラクターコマ、箱の制作は萬印堂さんにお願いしました。

これまで家庭用のプリンターで試作用のカードなどは印刷してはいましたが、やはりちゃんとしたカードやボードの形で仕上がってくるとグッと製品感的なものが感じられて満足度が高いですね。

これでいよいよ3/23のボドゲガレージ、そして5/17、18のゲームマーケットへの出展の準備が整ったということになります。

そのボドゲガレージですが、先行販売ということで小部数の持ち込みとなります。具体的に言うと10部持ち込む予定です。

そしてこれまでずっとはぐらかしていた価格ですが、8000円となります。

まあ正直高いとは思います。個人製作のボドゲにおいそれと出せる価格ではないとは思いますが、カード枚数などのコンポーネントなどからコストがどうしても高くなってしまい、この設定とさせていただきたいと思います。

その価値に見合うかどうかは、当日のブースで展示するコンポーネント類と、サポートサイトで公開するルールブック、シナリオブックの内容を見て判断していただければと。

 

その代わりというわけではないですが、ボドゲガレージ販売分には全数分、先行購入特典として、ダメージトークンをおまけにつけさせていただきます。

1点のものが10個、5点のものが4個で、もともと付属している20個、8個に加えれば少しだけ遊びやすくなるかと思います。

このトークンはオリジナルデザインで、特注で作ってもらったものなので他では手に入らないアイテムとなります。

ゲムマでも数量限定で付属する予定ですが、全数付けるかどうかは未定なので、確実に手に入れたい方はボドゲガレージでの購入も選択肢に入れていただければと思います。

上記の通り小部数での販売となるため、遅く来場する場合などのために取り置き用のフォームも用意しました。こちらもよろしければ利用ください。


 購入の参考になるかどうか、このゲームをデザインするにあたって意識したこと、やろうとしたことをいくつか描いておきます。

デッキ枚数を抑える
個人製作のゲームとしてはカードが多いほうだとは思いますが、それでもデッキあたりの最大カード枚数は40枚までに抑えてあります。
最近のボドゲはデッキあたりのカード枚数が多いものが多く、テラフォーミングマーズやアークノヴァなど1デッキ100枚を超えることも珍しくなくなっています。
個人的にシャッフルが無理なく出来るのは、トランプのデッキの50枚強くらいまでだと思うので、その枚数を超えないように気を付けました。

シャッフル回数を減らす
上で書いた内容に関連しますが、ゲーム中何度もシャッフルが挟まると、ゲームが停滞して感じられてしまうので、一度ゲームが始まったらできるだけシャッフルすることがないようにしています。
すでにイーオンズ・エンドなどで採用されていますが、プレイヤーのカードデッキも尽きたらデッキをひっくり返すだけでシャッフルしないようにしているので、ダウンタイム軽減にも寄与していると思います。
これは単にイーオンズ・エンドのパクリというだけではなく、カード背面がスターターデッキと追加したカードで異なるため、シャッフル中にトップカードがわかってしまうのを防ぐという意味合いもあります。

セットアップ・後片付けしやすいデザイン
このゲームはドロー用の武器、アイテム、フォロワーカード、毎ラウンドの頭に引くトラブルカード、『サイト』で使用する『サイト』カードやアーティファクトカードなど、様々なデッキ用カードがありますが、それぞれにキーカラーを設定して、背面、表面のフチに配色にすることで、セットアップやプレイ後の片づけ時に容易に種類分けできるようにしています。
シナリオ付属の報酬カードは対応したデッキに入れる関係上背面は通常カードと同様ですが、テストプレイ中にアドバイスいただき、表面のフレーム色をホロ風にしたことで見分けやすくなりました。
また、カード右下にIDを記載することで、カードの過不足も即座に見分けがつくようになっています。正直制作中の作業はかなり煩雑になりましたが、その文プレイアビリティは高まったかと思います。

結果を出すのにランダムを使わない。ランダムは最初に提示する
このゲームはTRPG風のデザインですが、ダイスを使用しません。
ダイスを振るのも楽しいですが、色々やった最後にダイス目次第で成否が決まるのも時に理不尽に感じることもあり、このゲームでは採用しませんでした。
ランダム要素は主にマーケットスロットとトラブルカードの引きに集中させ、ラウンドの頭に提示することで、手持ちのリソースでどう対処するかを悩むような作りにしてみました。
この方式は「すでに詰んでいる」のがわかってしまうような事態も発生しえますが、出来るだけ、それまでの積み重ねでこうなったのだ、と納得できるようにしているつもりです。

ダウンタイムを減らす
「トーキョー災都心」は色々と悩む要素の多いゲームですが、なるべくそういった時間を減らすため、プレイヤーの手番順という要素は廃止して、同時に解決できるようにデザインしました。
上記のシャッフル機会を減らすのと合わせて、プレイそのものに時間を使えるようになったかと思います。

プレイアビリティを重視する
このゲームでは、カードを配置するエリアマットは最初からネオプレン製にすることを決めていました。
これをボードにすればコストを下げられた可能性はありましたが(実際はそうでもなかったっぽい)、他ゲームでボード上に配置したカードを取りづらいと思った経験があるので、ここはこだわって決めたポイントになります。
また、使用済みのカードをタップしたりと動かすような処理にはせず(タップ処理が特許で保護されているというのもありますが)、上に消耗トークンを置くことで管理するようにしています。これは消耗トークンを複数置くことで使用コストの重さにバリエーションを持たせられるようになったという副産物もありました。

処理中に覚えておくことを減らす
デッキ構築と言えばドミニオンが有名ですが、カードによって追加されたアクション数やドロー数が込み入ってくると、回数の管理が煩雑になると感じていました。
デッキ構築以外でもアクションポイント制の残り回数など、覚えておく必要のある要素があると混乱しがちなので、このゲームではカード1枚がアクション1回というのを基本にして、それに装備カードやスキルなどが追加されていくという形でアクション強化を実現しています。

やることを固定化しない
デッキ構築で問題に感じがちなのが、サプライによってやることが固定化されてしまうというのと、RPG的なゲームの、獲得・強化したカードでプレイの流れが固定化されがちになるというところでした。
「トーキョー災都心」では、サプライのマーケットスロットに並ぶカードが毎回変わるようにした(たいていの場合、デッキの半分程度しか使われないので、「これが出たら勝確」というカードが出るかは保証されない)のと、シナリオごとにデッキをリセットすることで、ローグライクやMOBA的に毎回場に合わせてキャラ強化をしていくというようにしています。
ただ、全くのランダムにしてしまうとそれはそれで指針が立てられないので、報酬カードはデッキの上のほうに入れられるようにしたり、スキルがシナリオのクリア状況によって解放されたりと、一部持ち越せる要素も用意しています。

トーキョーという舞台を第二の主人公に
上でも書きましたが、シナリオをクリアすると報酬カードを獲得できます。これはシナリオ最後の選択によって選ぶというのが基本の流れで、獲得したカードはマーケットスロットにドローするデッキの上のほうに入ることが確定します。
ゲーム内の選択によってマーケットスロットの内容が変わり、トーキョーという舞台の表情が変わっていくことで、第二の主人公のような愛着を持ってもらえるといいなと思っています。
シナリオの内容も、PCが頻繁にエリア移動することを推奨する作りにして、トーキョー内を駆け回る感覚が体感できるのではないかと思います。

シナリオはパラグラフ式にしない
シナリオ重視のゲームだと、別冊のシナリオブックにゲームブック的にパラグラフ番号と一緒にボリュームのある文章が記載されていて、それを読み上げながらプレイするようなものも多いですが、個人的にはどうしてもプレイが中断されてしまう感覚が強く感じられたので、「トーキョー災都心」では、ゲームの展開は基本的にカードにすべて収めるようにしています。
必然的にフレーバーテキスト量はかなり少なくなりましたが、プレイに集中できる最低限に収められたのではないかと思います(執筆コストも抑えられたし)。

難易度を上げすぎない
とはいえそこそこ難しいシーンはあり、状況によってはゲームオーバーになることもあるとは思いますが、シナリオのどこかには準備期間を設けて、そこで時間をかけてデッキを強化すればクリアはそこまで難しくないとは思います。
その代わり、クリア時にかけたラウンド数で評価をするようにしています。別に評価が高くても低くても損も得もしませんが、ゲームに慣れてきたらタイムアタック的に楽しんでもらえるように設定しています。

ソロを楽しく
個人的にボードゲームのソロプレイが好きだというのもあり、ソロの遊びやすさにはこだわりました。
できるだけ多人数プレイと大きくルールを変えず、それでいて疑似的な協力感が得られるように、BOTカードや、デッキ2つを混ぜて運用するルールを設計しました。これによって、複数キャラを運用するときも個別のデッキや手札を管理する必要がなく、簡易的にプレイできるようになっています。その代わり手札の枚数は通常の2倍よりは1枚少なくなるので、単に有利という風にはならなくなっています。
このルールはデザイン中早めに用意したのもあって、制作中は手軽にテストできたといううれしい副作用もありました。

ちょっと長くなってしまいましたが、「トーキョー災都心」はこんなことを考えながらデザインしていました。

いわゆる「ぼくのかんがえたさいきょうのボード―ゲーム」というやつですが、個人的にはそのかいあって自分好みのゲームに仕上がったと思います。

傾向を見る限り、同人ボードゲームはパーティー系の軽いものが好まれやすそうな印象ではありますが、自分と好みの近い方の目に留まって、遊んでもらえたらいいなと思っています。


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