BLACK SONATA

――ようやくお会いできましたね、Mary Fittonさん……いや、Dark Ladyとお呼びした方がいいですかな?――
神出鬼没の貴婦人を追う推理パズル


ソロ分類:ソロ専用
日本語対応:ルール和訳あり(BGG・要登録

Maquisのデベロッパー、Side Room GamesがMaquisより前に出した、ソロ専用の推理パズルゲーム。

実は結構前からBGGのソロゲー界隈ではたびたび話題に出てはいたのだけど、ゲーム名から「クラシック音楽がらみのテーマゲーかな?」と敬遠していたのを、Maquisが良かったしとやってみたら面白かったので紹介。

シェイクスピアがテーマになっているが、知らなくても全く問題ない(もちろん知っていればより面白いのだろうけど)。
彼の作品に登場し、存在が謎とされている「Dark Lady」(Wikipedia調べ)の正体に迫るべく、ロンドンを歩き回って手がかりを集め、その正体を突き止めることが勝利条件となっている。

Dark Ladyは、特定のルールに従って作成したデッキ裏面の場所シンボルに対応した場所にいて、毎ターン移動していく(上級ルールだとその場にとどまることもある)。

(この例でいうと、「劇場」のシンボルが出ているので、Shoreditch、Blackfriars、Liberty of The Clinkのいずれかにいることがわかる)

移動経路からDark Ladyの所在地を割り出し、自分のコマがDark Ladyと同じ場所にいると思ったら、デッキのカードを場所カードに重ねて裏を覗く。場所カードには鍵穴を模した穴があいていて、そこからDark Ladyのシルエットが見えたら正解で、手掛かりカードを引くことができる。

これがなかなか楽しい(外れるとわりとガッカリする)。

手掛かりカードには、3つの手掛かりシンボルが記されていて、あらかじめわかっているDark Ladyの家紋に対して、いくつシンボルが一致しているかが記載されている。

(この例でいうと、Black Ladyの家紋がバラ(一番上)なら左の3つのシンボルのうち0または2つ、スズランやドングリなら1つ、一番下のセージなら2つが彼女のシンボルと一致している、という手掛かりになる)

十分な手掛かりカードを集めて、Dark Ladyのカードに記された3つのシンボル全てを当てることが出来たら勝利となる。

実際のところ、クリアするだけならそれほど難しくはないが、時間をかけてしまうと最終得点が下がってしまう。
しかし何より、探偵気分でDark Ladyの足取りを追い、正体を推理しているという感覚、鍵穴からそっと覗くというアクションがテーマに沿っていて面白く感じたので、是非お勧めしたい。

……のだけど、プリント&プレイは、「鍵穴から覗く」というギミックのせいで作成難度が高い。プリントした用紙を半分に折ってのり付けする際、ノリの水分のせいで用紙が波打ってしまい、最悪インクに滲みも出てしまう(しわになりにくいスティックのりがあるらしい)。さらに出来上がったカードに8ミリ径の穴をあける必要もあり、デベロッパーのサイトからリテール版(クラウドファンディングの余剰分なのか、流通版として生産しているのかは不明)通販した方が無難と思える(本体$25、送料$10(いくつでも))。

簡易作成法(未検証)
のり付けが大変そう……という人は、未検証ながら、以下の方法でもおおむね問題ないと思われる。
・手がかり(ダークレディ)カード、秘匿カード、サマリカードは点線で折らずにそれぞれ切り離し、表裏合わせて通常サイズのスリーブに入れる
・霧カード、ステルスカードも同様に切り離し、タイト目のスリーブ(※)に入れる
・場所キーカードも同様に切り離し、まず鍵穴側の穴をカッターで切り抜く。その後、対応するカードを背中合わせに重ね、空けた穴を鉛筆などでなぞって、線を目安に気持ち大きめに切り抜く。その後タイト目のスリーブ(※)に入れる
※自分の印刷環境ではカードサイズ横幅が43ミリで、ホビーベースのハーフサイズがズレにくそうだと感じた。ミニユーロでもピッタリサイズ(推奨サイズ43ミリ)と謳っているものならイケるはず

PnPの場合はボードとカード、トークンを印刷するほか、自分の位置を表すポーンと、Dark Ladyの居場所手掛かり用トラッカートークン4つが必要。
カードにスリーブを使用する場合は、通常サイズ13枚の他ミニユーロもしくはハーフサイズ43枚が必要。

BGGページ
Side Room Gamesショップページ(日本へ発送可)