THE WHITE CASTLE(白鷺城)・茶の湯拡張

白鷺城に一族を送り込み、権力の座を勝ち取れ 9手番のみのダイス&ワーカープレイスメントとその拡張

ソロ区分:対戦ルールソロバリアント・PvE型
日本語対応:日本語版あり
プレイヤーは地方の小藩主として白鷺城に一族の者を送り込み、影響力を強化し、自らの地位を高めるというテーマのダイス&ワーカープレイスメント。
メインのシステムはワーカープレイスメントだが直接ワーカーを置くことはできず、まずダイスを選択し、ボードに配置することでメインアクションを行い、対応したコストを支払うことで初めてワーカーを置くことができる。
そのダイスは、ラウンド開始時に振られたあと橋に左から昇順で置かれたものを、右端か左端から獲得できる。

右に置かれたダイスは目が大きく、配置の際にマス目を上回っていれば差額が銭として獲得できるが、左のダイスを配置すると目が小さい代わりに(マスの目を下回っていれば銭を支払う必要がある)、灯篭アクションという追加のリソースなどのボーナスがもらえるという利点もある。真ん中からは獲得できない。
序盤は灯篭ボーナスも大したことがないので大きい目が有利だが、中盤以降はボーナスが充実してくるので小さな目も十分選択肢に入ってくる。ダイスロールの結果によっては左にも大きな目が来る場合もあるので、そういうダイスは争奪戦となる。
メインアクションには「鍛錬場」に侍ワーカーを置くもの、「庭園」に庭師ワーカーを置くもの、「城」に藩士ワーカーを置くものの3種類がある。
「鍛錬場」は置いたその場でリソースやボーナスアクションが獲得できるほか、ゲーム終了時に城に置かれた藩士の数に対応した勝利点が得らえるという、「城」アクションとシナジーがある場所になっている。
「庭園」は置いたその瞬間と、第1、第2ラウンドの終わりに対応した橋にダイスが残っていればリソースやメインアクションが行えるというアクション。ダイスが残るかは流れ次第だが、早目にアクションを行っておくと最大3回の恩恵を得られる。置いたマスによって勝利点も得られるので、他アクションとシナジーはないものの、手堅い収入が期待できる。
「城」はこのゲームの核となるアクションで、門前から始まり、1階、2階と歩を進めて天守までワーカーを到達させることができる。昇っていくごとに獲得できる勝利点が増えるのはもちろん、止まった部屋のアクションカードを自分のボードに移植でき、元あったカードを灯篭アクションに追加できるようになる。手間はかかるが獲得できるボーナスが大きく、出来るだけ狙っていきたいアクションとなる。
メインアクションを行うには対応するリソースが必要となり、鍛錬場は鉄、庭園は食料、白は真珠母を支払わなければならない。これらのリソースはサブアクションで獲得できるので、狙ったアクションに必要なリソースを素早く集め、メインアクションを行うのがゲームを進行させる重要な戦略となる。
このようにダイスを選んで置くことがさまざまな要素に密接に絡んでいるうえ、基本セットでは1ラウンド3手番×3ラウンドの9手番しかなく、不用意に選択すると何もできずにゲームが終了しかねないのがかなりとっつきづらいところがあるが、要領がつかめてくると1つの手番で様々なアクションが連鎖するようになるのが面白いと感じた。
難点を言えば、各アクションを行えるダイスの色を決めるチップ、アクションの内容を決めるカードや庭園アクションのカード、鍛錬場のボーナスなど、それぞれが多少の制限はあるもののランダムなので、組み合わせ次第では特定のアクションがかなりやりづらかったり、城1階のアクションが3色ばらけてしまうと弱い選択肢になってしまうなど、ランダムに左右される要素が多いと感じたところ。
多人数だと全体が浮き沈みするので対戦としてはそこまで問題にならないと思われるが、後述するソロのオートマ戦だとかなり悪影響を与えるのではないかと思われる。
茶の湯拡張ではボードが下方に拡張され、メインアクション「茶屋」と対応したワーカー「芸妓」、リソース「茶筅」が追加される。
茶屋アクションは「城」と同じようにマス目に沿ってワーカーを進めていくが、最後の茶屋まで到達すると3つの部屋のうち一つを選択できる。部屋には対応したボーナスのほか、「鍛錬場」「庭園」「城」に置いたワーカー数に応じた勝利点がゲーム終了時に獲得できるので、基本セットのメインアクションに対して、自分でシナジーを作り出せるという独自要素になっている。
また、緑色のダイスとそれに対応した橋が追加され、1ラウンドあたりのアクションも1回増えて計12手番になるので、基本の9手番では物足りなかったプレイヤーも満足できるようになった。
ソロプレイはカードで制御するオートマと対戦する方式だが、これがかなり手ごわい……というか理不尽で、BGGなどでも議論の種となっている模様。
オートマは盤面のマスの状況とは関係なく決められたアクションを行ううえ、橋の指定した場所にダイスがない場合は2回分のメイン&サブアクションを行うというチートもいいところの行動をしてくる。
オートマの行動はボードの状況を見ないので、マスをふさいでおくという対処もできない上に、こちらが使いたいマスはふさいでくる妨害はしっかりしてくるので、正直手が付けられないと感じた。

一応、なるべく先手番を渡さないようにする(手番順によってラウンド終了時の勝利点の取り方が変わる)のと、2回行動をさせないように、まだカードが引かれていない色のダイスをなるべく使わないという消極的な対応ができなくはないのだが、そのためにこちらの手を崩してまでやる価値があるかはだいぶ難しい(そもそもカードの引き次第では無駄になる可能性もある)。
何度かやってみたが、オートマの行動は完全に無視して自分の行動を優先し、その上でオートマが変にハマって点が伸びないことを祈る以外にあまり有効な道はないように思えた。
(だいたい低いときは50点台、高いときは80点以上行く)
個人的には割り切ってダイスの取得と配置、手番順トラックの移動以外は見ないようにして(城の進行トラックも見てもいいかも)、スコアタ形式で遊んだほうが精神衛生上良いかもしれない……。