色里

豪商となり着物を仕立て、太夫を身請けしよう 和テーマのワカプレ+セットコレクション

ソロ区分:対戦ルールソロバリアント・スコアタ型
日本語対応:日本語版
江戸時代の裕福な商人となり、色里の最上級の遊女、太夫を身請けするために伝手を辿って通い、着物を仕立てて贈ろうとする、というテーマのワーカープレイスメント+セットコレクションのボドゲ。
ゲームマーケット2025春に出展されたインディーのボドゲで、ゲームとしても重め、価格帯も高めの設定ながら豪華なコンポーネントと落ち着いた色使いのアートワーク、他にあまり見ない和のテーマで気になっていたタイトル。
太夫を身請けするには段階を踏む必要があり、まず太夫のもとに通うために店から関係者と伝手を辿っていかねばならない。
それを表現しているのが小判トークンを使ったワーカープレイスメントで、昼と夜に分かれたラウンドで、昼フェイズにまず外周の葉形の店ボードに小判を置いて効果を使用した後、夜フェイズに半円形の関係者ボードに移動させる。この小判はそのままそのボードに残り、伝手として以降のラウンドで隣接した太夫へのルートとして機能するという仕組み。

そうやって大夫に小判を置くことができると、その太夫の好みの着物の柄を知ることができる「指切り」カードを入手するか、太夫の固有能力を使用することができる。
さらに、その太夫に置いた小判も伝手となり、中央の「宴」ボードにアクセスして、そのボーナスを起動できるようになる。
この8つの小判を使い切ったらゲーム終了で、各自点数計算を行い順位を決定する。
点数計算に最も重要なのが太夫の身請けで、それを成功させるためにはもう一つの要素、着物の作成を行う必要がある。
着物は店ボードに小判を置いた際に獲得できる型紙タイルを集め、職人ボードに小判を置いた際に実行できる「染め」アクションを実行することで個人ボードに配置することができる。
配置したタイルは職人ボードで「縫い」アクションを行うことで刺繍タイルにランクアップさせて追加の得点を獲得できるほか、流行りや太夫の好みの条件を満たすのにも必要となる。

ゲーム終了までに着物を完成させ、かつ、流行りの柄+太夫の好み1種、もしくは太夫の好みをすべて満たした柄で作成することができ、かつほかのプレイヤーより熱心に通っていれば(配置した小判が多ければ)、太夫を身請けすることができる。(実際には浮気チェックなどもうちょっと厳しい条件がある)

ゲームとしては身請けしたボーナス点、着物の刺繍のほか、関係者に小判を置き、条件を満たすことで獲得できる点数、宴ボードで起動したボーナス点から、奢侈(しゃし)禁止令による余剰型紙タイルや個人ボードの空きマスなどのペナルティを差し引いた点数で順位が決定する。
ソロモードでは一部変更されたルールでプレイし、出来るだけ高い点数を目指すスコアタック式となる。
変更されるルールは主に関係者関連と身請けの点数で、関係者は小判配置時に(おもにマルチ向けの)固有能力が使用できない代わりに、小判を置いておけば点が入るというシンプルな仕組みに、身請け周りは身請けが成功した際に贈った着物のランクに応じた点数が入るというもの。また、8ラウンドより前にプレイを終了させればその分のボーナスも獲得できる。
全体的にマルチプレイよりも派手に点数が入る代わりに、点数によって判定される称号の条件は厳しめで、生半可な点数では最高の称号を得ることは難しくなっていて、最善手を計画し、そこから逆算してワーカーの使い道を決めるような緻密なプレイが要求される。
海外はもとより国内でも大手メーカーが扱うのは難しい遊郭をテーマにしたインディーならではの挑戦、小判トークンやマットな質感の箱やボード、タイルなどの手触り、着物を仕立てたり伝手を辿って大夫に会いに行くというシステムとテーマのマッチ具合が光る作品となっていると感じた。
マルチプレイは未経験だが、太夫への気の引き合いのような要素はマルチならではなので、こちらも体験してみたい。