DEEP SPACE D-6: ARMADA
KSで生まれ変わったSFテーマのダイスプレイスメント。データを集め、FEDERATIONの中枢を叩け
ソロ分類:Coopルールソロバリアント・目標クリア型
日本語対応:なし
以前紹介したPnPカードゲーム、DEEP SPACE D-9がKSでリメイクされたバージョン。
(アイキャッチに写っているボックスの隣にある小箱はパーティー用オマケミニゲーム)
襲い来る敵集団をしのぐサバイバル形式だった元祖に対して、星系を飛び回ってミッションをこなし、敵勢力「FEDERATION」のデータを集めて中枢の居所を探し出し、破壊するのが目的のアドベンチャー的なテーマに変化している。
カスタムダイスを振って、対応したアイコンの兵器や装置を起動してダメージを与えたり、必要なアイコンでマスを埋めてミッションを成功させたりといった基本的なダイスプレイスメントのシステムに変更はないが、初期のダイスは能力が減り、その代わりに立ち寄った惑星でクルーを雇い、特徴を持ったダイスを追加できるようになった。
振れるダイスが多くなるのは純粋に強化になるので、最優先でダイスを増やしていきたい。
他に大きく変わったのは、「内部的な脅威」の削除。この要素はミッションという形になり、毎ラウンドバッグから引かれる救難ビーコンに紐づいたミッションが惑星に配置されるので、旧作と同じ要領でクリアすると、クルーの雇用や装備の購入に必要なクレジットや、最終ミッションのトリガとなるデータチップを入手することができる。
こちらもダイスを配置していくシステム上、ダイスの数が成功率に直結するので、その点でもクルーの拡充は急務となる。
戦闘はスタックされた敵艦隊単位でエンカウントするようになり、一つの艦隊を全滅させたら次の艦隊……と順に処理していき、その惑星にいるすべての艦隊を排除すれば、上記のミッションに取り掛かれるようになる。
こちらの艦隊も毎ラウンド増加していくので、手遅れになる前に処理していく必要があるが、個々の艦船の強さは公開してみるまで分からないので、特に序盤は慎重な行動が求められる。
プレイしてみた印象としては、戦闘がかなりデッドリーになったこと。敵船の強さは完全ランダムで、序盤だろうと終盤だろうと変わらないので、初戦で強力な敵船×3とエンカウントしてあっという間に消し炭、ということも(というか初プレイがそれで心が折れかけた……)。
ある程度ミッションで資金を稼いでクルーや装備を整えたいが、そうしているうちにも敵船がどんどん配置されてジリ貧になってしまうので、ある程度のところで見切りをつけつつ、強化と並行して戦闘、ミッションをこなしていかなければならない。
クルーや装備が整ってくれば、ダイス目を操作する手段も増えて戦闘も安定してくるが、データをそろえてトリガを満たすと登場する最終目標は、それに輪をかけて強力で、出目が悪ければ問答無用で敗北、ということも起こりうる。
(実は最初の画像はボスをあと一歩まで追い詰めたものの、「ここで3が出たら終わり」という局面であえなく3を引いて敗北となった瞬間だったりする)
万全の態勢を整えつつ、ここぞというときにチャンスをものにできれば、FEDERATIONの打倒も可能になるだろう。
製品版になって良かった点としては、コンポーネントの豪華さ。プレイヤーボードは分厚い2層式になり、購入したパーツをスロットに差し込む手触りも満足感が高いし、宇宙船もカスタムの大型木ゴマにフルカラーでプリントされていて気分を盛り上げてくれる。
ゲームには直接関係ないが、デザイナーの日本カルチャーに対してのリスペクトなのか、惑星や敵艦船名に「KAGAWA」や「KABUTO」などあったり、上記の戦隊ものやゲームネタのパロディクルー、ルールブックの表示に「サイコロ」など、ちょっと脱力物の日本要素がちりばめられているのも特徴となっている。
半面ルール記載部分は精度不足が目立ってしまっていて、ルールブック、プレイエイド、BGGフォーラムでのデザイナーの書き込みで記載が食い違っていたり、装備タイルにミスプリントがあったりと、若干残念な結果に。
公式サイトにエラッタも記載されているのでプレイの際は確認する必要があるが、フォーラムの書き込みなどは反映されていないものもあるのでざっと上げてみると、
- セットアップで配置する「00」のミッションは、解決するまで他のミッションが実行できない「Prime Mission」。カードには記載があるが、トークンのアイコンは通常のものになっている
- 2枚の「Blossom II」装備タイルの表面が「I」のものになっている(裏は正しい)
- 「Titan Arum Ram」装備タイルの表面に「Quickstrike」のアイコンがない(裏は正しい)
- プレイヤーエイドカードの「1 Player」「2 Players」の「Threat Detected Card」を引く枚数が1になっているが2が正しい
- ソロプレイでDon’t Panicビーコンを混ぜる数:
ルールブック:記載なし
プレイヤーエイド:2つ推奨
BGGデザイナーコメント:0推奨 - ソロプレイで終了トリガを引くデータチップ数:
ルールブック:4(ソロ用の記載なし)
BGGデザイナーコメント:3推奨 - ソロプレイで使用するShieldとHullのアップグレードカバー
ルールブック:明言なし(人数によるとは書いてある)
BGGデザイナーコメント:「Solo」と書いてあるカバーを使用する - セットアップ時にバッグに「入れない」ビーコン:00、80、99、ブランク(予備) (ルールブックにはすべて入れると書いてある)
といったところ。これらのエラッタがどのように対応されるのかは不明だが、それまではプレイヤー側で気を付けよう。
(個人的には1,2プレイヤー時のThreatカードは1枚でいい気がする……)
ビデオゲームのFTLあたりを結構意識したアレンジ、リメイクがされているので、そのあたりのテーマが刺さる人、ダイスプレイスメント好き、PnP版を気に入った人にはおススメ。