KEYFORGE ADVENTURES: RISE OF THE KEYRAKEN

リチャード・ガーフィールドによる対戦カードゲームのPnP拡張 ソロまたはCOOPでボスに挑め

ソロ分類:ソロ・協力
日本語対応:なし

マジック:ザ・ギャザリングのような対戦カードゲームのKeyforgeを、ソロ/協力型ボスバトルにアレンジし、プリントアンドプレイ形式で無料(!)公開されたのがこのKeyforge Adventures。

プレイするにはPnPで作成したカードのほか、Keyforge本体(シリーズどれかの2人用スターターセットか、「Deluxe Archon Deck」という名前のトークン入り1人用スターターセット)が必要。

最新シリーズのDark Tidingsを購入。Adventuresでも使用する、Tide(潮の満ち干)のシステムが追加された

まずはこのKeyforgeとは何か、というところから説明すると、MtGでおなじみリチャード・ガーフィールドがデザインした、新しいタイプの対戦カードゲームということになる。

詳細に説明するときりがないので、MtGと違う点をいくつか挙げてみると、

  • デッキ構築という概念がない。AIにより自動構築されたデッキ単位で購入し、このパックのみでプレイする。
  • コストの概念がない。デッキには3つのHouse(勢力のようなもの)に属するカードが12枚ずつ入っていて、毎ラウンドプレイするHouseを選んで、手札や場にある該当するHouseのカードすべてをプレイできる。逆に言えば選ばなかったHouseのカードはプレイできない。
  • PCにあたるプレーンズウォーカーのようなキャラクターがいない(いないことはないが戦闘には参加しない)。勝敗はアンバーというリソースを集め、各自3つずつ所有しているKeyをすべて起動することで決する。
  • PCがいないので戦闘にブロックという概念がない。戦闘はクリーチャーカード同士の1vs1で行い、ダメージは同時解決する。受けたダメージはラウンドを超えて持ち越す。
  • パワーとタフネスは統合され、ダメージを軽減するアーマーと合わせて2つのパラメータになっている。
  • 各クリーチャーは戦闘のほか、アンバーを獲得するReap(収穫)というアクションが可能。

というような感じ。書いている本人が、MtGをほんの少しかじった程度で全然詳しくないため、間違いがあったらご容赦。

デッキ構築がないという時点でなかなか思い切ったデザインで、賛否両論というか、MtGファンからはあまりいい印象を持たれないのではないかと思えるが、逆にMtGが合わなかった人で、上記の変更が良さそうと思えれば刺さるかもしれない。

購入したDark Tidingsスターターセットに封入されていたデッキのうちの一つ。星間連合のStar Alliance、ロボテーマのLogos、恐竜テーマのSauriansの3つのHouseで構成された「Protectman, Church Praetor」というデッキ(実際にはもっとカードがある)。

カードだけでほぼ完結するMtGに対して、トークンなどいろいろコンポーネントが増えて、ちょっとボドゲ寄りになった雰囲気もある。

Protectman, Church PraetorのIDカードに乗ったアンバーと、勝利条件となるキー。真ん中のものが起動状態、左右は未起動。

 

対戦ルールのKeyforgeに関しては、ゴクラキズムさんのところで詳しく説明されているので、興味がある方は参照してもらえればと。

2人用カードゲーム「KeyForge(キーフォージ)」の特徴

2人用カードゲーム「KeyForge(キーフォージ)」のゲームの流れ

 

そのKeyforgeも本国ではシリーズが進んでいて、最初のCall of the Archonsから、Age of Ascension、Worlds Collide、Mass MutationにつづいてDark Tidingsが発売になり、Adveturesはこの海テーマのDark Tidingsの設定でデザインされている。

そしてこのAdventures自体もシリーズになっていて、ここで紹介するRise of the Keyrakenのほかに、第2弾のAbyssal Cospiracyがすでにリリースされている。

 

前述のとおり、AdventuresはPnP形式で公開されていて、公式サイトからデータをダウンロードし、印刷して遊べるようになっている。

対戦形式のカードゲームをボスバトルにアレンジするというのもなかなか大胆なかじ取りだが、その辺は新型コロナで外出がままならない最近の情勢も影響しているのだろう。パブリッシャーのFFGがMarvel Championsなど同形式のゲームをいくつも出版していて、その手のノウハウが蓄積されているというのも大きいと思われる。

 

印刷したものをカットしてスリーブに入れた状態。大きな5角形のボードは第2弾のAbyssal Conspracy用。Rise of the Keyrakenは大判のボスカードと46枚のボス用デッキで構成されている。

 

だいぶ前置きが長くなってしまったが、本題のAdventuresでは、タイトルにもなっているKeyrakenと対決するという内容になっている。

Keyrakenは毎ラウンド、ボス専用のデッキから2枚(ノーマルの場合。イージーは1枚、ハードは3枚)のカードをプレイし、深海から海面へと上昇しようとする。上昇に使用するアンバーの蓄積を妨害し、30点(×プレイ人数)あるKeyrakenのHPを削り切ればプレイヤーの勝利、その前にKeyrakenが4回上昇してしまうと敗北となる。

ボスカードとボスが使用する専用カードの一部。どれも一度場に出てしまうと対処にてこずらされる

 

Keyrakenが繰り出してくるクリーチャーやアーティファクト、アクションはどれも強力で、早めに対処していかないとどんどん押し込まれてしまう。運良く空撃ちや効果の低い行動をしてきた隙に、一気にこちらの強力なコンボで攻め切りたい。

自分がプレイしてみた感じでは、初回はボスデッキ、自身のデッキ共に引きが良く、ほとんど危なげなく勝利できたのだが、気をよくして挑んだ2回目では序盤から強烈なシナジーを構築され、徐々に不利になって壊滅、という状況で、カード引き運も結構ある印象だった。

この辺りはデッキの当たり外れも多分に影響してくると思われるので、スターターに付属していたもう一つのデッキのほうも試してみたい。

 

日本では知名度が低く、扱っているゲームショップもほぼない状態で、おそらくローカライズもされないと思われるので、Keyforge本体の入手難易度はそれなりに高い。

米amazonなどから個人輸入するか、送料を入れても割高だが手続きが手軽な日amazonの並行輸入品を購入するかの2択だろうか。

基本ルールはともかく、カードの効果表記もこの手のカードゲームの英語版に慣れていないと読み解きづらく(「they」を単数形として使用していたり)、こちらもハードルが高くなっているが、BGGの評価も良く、この手のレイド系カードゲームが好みならプレイしてみてほしい。

 

公式サイト(PnPデータDLは、ページ下部「Support」の、「Keyforge Adventures Print-and-Play Materials」から)