Fallout 1なんちゃってリプレイ Vaultから来た男:Log08「the Hub」

ハブは水を各地に運ぶ商人たちの中継点として栄える町だ。

最初は小さな町だったが、水の集まるところに人は集まると言うことで、トレーダー相手に商売するものが現れ、キャラバンを護衛する者たちが集まり、トレーダーの組合の本部が置かれるようになると、ハブは押しも押されぬ大都市となり、南のボーンヤードと肩を並べるほどの勢力を誇るようになった。


町の玄関口にはキャラバンの荷車が並び、荷の積み卸しや精算、用心棒たちとの交渉、ドライバーの募集などで活気に満ちあふれている。そのまま町の中央まで進めばマーケットで、キャラバンやこの町に住む人々のための物資が盛んに取引されている。もちろん取り扱われる品は、キャラバンが周辺の町や村から運んできたものばかりで、そのバラエティに富んだ品々には否が応でも眼を奪われてしまいそうになる。

とは言っても、俺たちにまず必要なのは情報だ。イアンはマーケットのさらに奥、ウォーターマーチャントの事務所へ、俺は地元のライブラリー――なんとこの町には本を扱っている店がある!――に、タイコは住民への聞き込みと、手分けしてあたることにした。

「そうですね、Vaultに関する記録でしたら、こちらのホロディスクなどいかがでしょうか。建設当時の情報や、いくつかのVaultの所在が記録されているという話です」
見てみると、俺のPip-Boyでデータが読み出せそうな規格のディスクパッケージだ。
700キャップでいかがでしょうか、と言う店員を軽くあしらい、500キャップと引き替えにディスクを手に入れた俺は、早速Pip-Boyにカートリッジを差し込み、情報の転送を試みる。

さすがに100年近くの時を経ただけあって、データの大半は損傷していて読み取れなかったが、それでも3つのVaultの情報を手に入れることが出来た。
俺のいたVault13と空振りに終わった15、そしてVault12のデータだ。

それにしてもこの資料、Vault入植のプレゼンデータとなっているが、見事にVault-Techの都合のいいことしか書いていない、と言うか、明らかにねつ造されたデータも混じっていて、Vault計画のずさんさを浮き彫りにする内容となっている。何が「Vault13の浄水システムは完璧です!」だよ。

そうこうしているうちに、イアンとタイコも戻ってきて、俺たちは情報の整頓を行う事にした。

「水商人たちに聞いたんだが、以前ネクロポリスと水供給の契約を取りに行ったとき、話を断られたらしい。このご時世に水が要らないと言うことは、自前で大量に水を供給できる施設を持っていると見てまちがいないだろう、ということだ」
ウォーターマーチャントの事務所に行ってきたイアンが言った。
「そのネクロポリスってのは?」
「ここから北東にある町らしい」

なるほど、これはどうやらビンゴを引いたらしい。さっきのVault情報データによると、ネクロポリスの位置はVault12とほぼ一致する。
「次の目的地が決まったな」

「そうそう、私も良い情報を仕入れてきたぞ」
と、そこにタイコ。まあ、情報は多いほど良い。
「この南の廃墟で、レイダーに農場を奪われた老人を見つけたぞ」
「ほうほう、それで?」
「助けて欲しいそうだ」
いったいそれのどこが良い情報なんだ。
「お前さん、そういうの好きだろ。人助けとか揉め事解決とか」
んなもん好きじゃないっつーの。
どうやらこのおっさん、Junktownでの一件、というか一連の揉め事に巻き込まれた俺を見て、なにやら正義漢かなんかと勘違いしてるらしい。

そんなわけで、俺たちはマーケットであわただしく補給をすませ、次の目的地へ向けて出発した。まったく、ただでさえ時間が限られてるってのに、これ以上余計な厄介ごとを背負い込むわけにはいかない。

(Log08:EoF)