Falloutリプレイ tMfV:Log17「ZAX」

予想通り、パスカードをスリットに差し込むとセキュリティは解除され、エレベーターの扉が開いた。中のボタンを見ると、地下3階まで降りられるらしい。

軍曹の記録どおり、地下2階には停止したロボブレイン型とフローティングアイ型が転がっているだけだった。ただし、壊れているわけではなさそうで、主電源が落ちてスリープモードになっているだけらしい。ロボブレインの生体プロセッサ、つまり人間の脳もプラスチック状の保存状態で停止している。
地表から地下1階を貫通したミサイルの破壊はここまで及んだらしく、天井の分厚い鋼材が捻じ曲げられて開いた穴を通して砂塵にけぶる空が見える。床材も大方剥ぎ取られてコンクリートと鉄骨がむき出しになっている。

軍曹たちが襲われた地下3階も、数十年たった今では上の階と同じようなもので、めぼしいものは見つからなかった。変わったことといえば、天井に穴がないことと、奥に別のエレベーターがあることだけ。まあ、地上から直通で来られる階に大したあるとも思えないし、本番はこの別セキュリティのエレベーターからだろう。2階で見つけた赤のパスカードでセキュリティを解除し、地下4階に下りる。

Pip-Boyの画面の明かりを頼りに、薄暗い階層を手探りで進んでいく。いくつかの部屋を過ぎ、とある扉の前で立ち止まった。隙間から光が漏れている。タイコとイアンに目で合図し、.223ピストルを構えて部屋に飛び込む……と。


「何かお役に立てることはございますか?」

柔らかな、しかし異質な響きを持つ声を発したのは、巨大なコンピューターだった。

「私はZax。研究および施設管理を目的としたAIです」


Zaxによれば、この施設は防衛技術と防疫の研究所だったらしい。
  
防衛技術の成果は動力装甲、つまりパワーアーマーの技術として結実し、米軍に納入されることになった。もちろん今のだましだまし動かしてる骨董品とは比べ物にならない、失われた技術の結晶だ。筋電流とリンクした油圧システム、積層装甲技術、レーザーおよび放射線反射コーティングなど、BoSの連中にしてみれば垂涎ものの情報ばかりだ。片っ端からPip-Boyにダウンロードしていく。


もうひとつの防疫技術も一応目を通す。
なんでもグレートウォー当時の中国軍の生物兵器対策として、ウイルスを使った免疫システムの研究とやららしい。
どうも地味な代物だなと読み飛ばそうかと思いかけた……のだが。
「おい、これは……」
「どうやらビンゴを引いたらしいな」

この汎免疫性ウイルスプロジェクト、PVPは予想外の副作用により、方針を変更することになる。
もともとはDNAの構造を変化させて、ウイルスの感染対象から除外させるという機能を持つPVPだったが、導入した生物に異常な成長もたらし、肉体および脳の機能が強化されるという現象が発生したことにより、その人造ウイルスを強制進化ウイルス、Forced Evolutionary Virus、FEVと呼称を改め、スーパーソルジャーを作り出す計画にシフトしたのだ。

「このFEVは人間にも効果があるのか?」
『はい、人間にも効果がありました。』
「これに感染すると、人間はどうなるんだ?」
『筋肉や腱、骨格が異常に発達し、接種前の倍近い体格に成長します。皮膚も黄褐色の角質装甲層を形成します。ただし、知能に関しては個人差があり、強化される個体もあれば知性が失われるケースもあり、安定しませんでした。また、放射線に強い耐性を持ち、寿命も大幅に延長されますが、FEVが生殖細胞をエラーとして捉えるため、不妊となります』

「間違いないらしいな」
イアンがうなずく。スーパーミュータントだ。

「FEVの生産および接種の施設は何階だ?」
『初期の実験は地下6階で行われましたが、FEVと呼称を変更されてからは機密保持のため別施設に移行しています』
「その施設の名は?」
『マリポーサ空軍基地です』

モニターに地図と光点が浮かび上がった。Pip-Boyの地図と重ね合わせる。HubやBoSバンカーの北西、これまでの情報どおりだ。そしてそれは――。

Vault13のすぐ西にあたる。


(Log17:EoF)