Fallout 1なんちゃってリプレイ Vaultから来た男:Log05「Vault 15」

同行のイアンのおかげで、3日間何事もなく目的地に到着した。
もちろん、結果的に何事もなかっただけで、何度かレイダーやラッドスコーピオンを迂回し、水場を探したりという、イアンのサバイバル能力のおかげでもあったわけだが。というか、その為もあってイアンの同道を求めたというのもある。

その甲斐あって、次第にこの荒野の歩き方のようなものが分かってきた。
イアン曰く、真昼は日陰を探すか、穴を掘って過ごし、夕方から夜明けにかけて移動する、水源は植物のそば(あの枯れ草だ)を探すか、見つからなければ植物や動物から摂る、等々。

そんな調子でたどり着いた座標には、トタン板の掘っ立て小屋がぽつんと残されていた。小屋といっても人の気配はおろか、屋根も壁もろくに残っていない有様だったが、記録によると、その小屋の中にVaultの入り口があるらしい。


行ってみると、記載通りに床に丸い形に縦坑が掘られ、梯子が切られていた。フレアを落としてみると、深さは10mほど。それほど深くはないらしい。
目的地まであと少し。俺たちはさび付いたハシゴを、踏み抜かないよう慎重に下りていった。



「なん……だ、こりゃ……」
洞窟の内部には、俺のいたVault13の外の洞窟と同じく大ネズミが棲み着いていたが、問題はそこじゃない。Vaultの入り口の象徴的なギア型のハッチ、それが外れて洞窟内に転がっている。中の様子も、完全に電源が落ちているらしく真っ暗だが、通路の風化の具合からして、数年どころではない年月が経っているのは、火を見るより明らかだ。
「襲撃に遭ったか?」
とイアン。だがそれは考えづらい。核戦争を見越して作られたVaultだ。ミサイルが直撃したのならまだしも、ダイナマイト程度ではこのハッチは破れないだろう。ハッチ自体にも爆破や溶断の痕は見られないし、この外れ方はむしろ……
いや、今は内部の捜索が先だ。

外同様、中もひどい有様だった。洞窟よりも環境がいいのか、洞窟に棲むネズミよりもさらに巨大な種が巣くっていて(イアンによると、一回り大きいのが「モールラット」、人の背丈近い大きさのが「ピッグラット」だそうだ)、内部は荒れ放題だった。特に被害が大きいのはエレベーターシャフトで、カゴが落ちてしまって、内部に降りるにはロープを伝っていくしかなかった。村人のお節介が、こんなところで役に立つとはね。

シャフトを降りながら俺は考えた。Vaultが無人だとすると、チップは倉庫か、浄水装置そのものから取り外していくしかない。あるとすれば、最下層の管理区画。
俺たちは、時折飛びかかってくるネズミ共を蹴散らしながら、Vaultの奥へと向かっていった。




「ま、予想はしてたけどな……」
俺は監督官エリアの入り口の扉の前で天井を仰いだ。扉といっても残っているのは枠だけで、その向こうは大量の岩と土砂で埋め尽くされている。


ギアが施設の外側に外れていた時点で、そんな気はしてたんだが、どうやらこのVaultは直下型の地震かなんかに遭ったらしい。おそらくグレート・ウォーの影響によって起こされた地殻変動のせいだろう。俺の住んでいたVault13でも、時々結構な揺れを感じることがある。あのVault-Techのことだから、工期優先でろくに地質調査もせずに建設したのかもしれない。
ともかくそのせいで全体が歪み、一部は崩れた岩盤に飲み込まれた。そのときにフレームがひしゃげてギアが押し出された、と。
と言っても、Vaultが無人なのはそのせいではないようだ。人が巻き込まれた形跡もないし、一部の設備は持ち出された様子もある。おそらく、廃墟になった後に崩壊したんだろう。
まあ、どっちでもいいし、今はそれどころじゃない。

さらに隅々まで捜索を続けたが、見つかったのは大量のネズミと幾ばくかの武器弾薬のみで、Vault探索は完全に空振りに終わった。振り出しに戻ったどころか手がかりもなし。電源も死んでるので、コンピュータから情報を出すことすら出来ないときた。絶望的だ。
俺はがれきに座り込んで頭を抱えた。全く、どうしたもんかね。

「こうしていても仕方がない、一旦シェイディ・サンズに戻って計画を立て直そう」
見かねたイアンが言い、俺たちは足取りも重く荒野へと引き返す事になった。凱旋とはほど遠い。


(Log05:EoF)