2004年09月05日

ダーティペアの大復活(ややネタバレ)レビュー

6年ぶりに復活の無印ダーティペア。フラッシュはさすがに合わなかったので、よくぞ戻ったという感じ。

オフィーリア事件(「ダーティペアの大脱走」)のラストでコールドスリープに入ったユリとケイ。その眠りを覚ましたのは1体の女性型バイオボーグ「フローラ」だった。
寝起きの彼女たちに、フローラから衝撃の事実が告げられる。二人がコールドスリープしていた153年(!)の間に、人類は大規模戦争によって滅んだというのだ。
今や、彼女たちの望みは、同じくコールドスリープに入っているフローラの生みの親、ドクター・パニスの覚醒。フローラの依頼と利害が一致したダーティペアは、自動防御システムに守られた衛星、グリヤージュ突入作戦に乗り出す……。


コールドスリープに入っている間に……というと、エイリアン2を思い出します。こういうスケールの大きいことができるのはSFならではという感じですな。
でまあ、ダーティペアなので色々あるわけですが。

それより気になるのは表紙と巻頭挿絵にある巨大ロボ。未来世界でこのデザインかよ、というような7、80年代デザインですが、後半はこのロボが大活躍。なんつうかスパロボライクになっていきます。ムチャクチャだ(笑)。


……とまあ、久しぶりのダーティペアですが、気になるところもいくつか。全体的に荒い感じで、誤字や人称の不統一が気になったり、280ページの割には1時間強で読み終わっちゃったり(スカスカと言うほどではないんだけど)、後書きがなかったりと、若干やっつけスメルが。

「大脱走」でああいう終わらせ方してたし、あんまりこのシリーズやりたくなかったのかなあ、と勘ぐってみたりしましたが、とりあえず復活善哉ということで。

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2004年04月19日

バトル・ロワイアル(小説)レビュー

高見広春著。
架空の独裁政権下日本(正確には「大東亜共和国」)。そこには数年に一度、全国の中学校から一クラスをランダムに選び、特定のエリアで殺し合いをさせるという「プログラム」と呼ばれる制度があった。
城岩中学校3年B組は修学旅行に向かう途中、隊列から外れて別の場所へと向かう。今回のプログラム対象はこの3年B組である……。

とまあ、映画化されて社会問題にもなったので、この作品のことを知らない人は少ないと思いますが。
ただ、小説が出た時や映画化された時に残酷性がクローズアップされたので、避けてた人もいるかもしれません。私もそのうちの一人だったわけですが。

小説発表時のセンセーショナルな煽り文句(あまりの衝撃的内容に日本ホラー大賞を満場一致で落選、別出版社から復活とかそういうもの)、日本で政府が殺し合いをさせるという無理のある設定(架空日本とは知らなかったので)などで、かなり色物感が強かったし、映画公開からは妙な熱気で手を出しづらかったというのもあり、ずっとノーチェックだったのですが、文庫版も出たことだし、熱も冷めた頃なので読んでみました(直接のきっかけは映画版「2」のレンタルポップを見たことですが)。

なので今回は原作の小説のほうの感想、レビューを。

最初は上記のような先入観をもちつつ読んでいったんですが、次第にそれは間違いだったと気づかされました。
独特のハードボイルドな乾いた文体、容赦のない展開で先が読めず、40人以上の登場人物も、順を追って描写していく(そして死んでいく)事により思ったよりずっと混乱も少なく読めました。これは人物の名前が覚えられない私にとっては大いにプラスです。
主要人物もツボを押さえてキャラ立ちさせているので、同人関係でキャラ別にファンが付くのもうなずけます。この辺はかなり巧いと感じました。
文庫サイズで千ページ近い分量で、前半は少しずつ読んでたんですが、ジェットコースターのように加速していく展開に、後半は一気に読み切らされる始末。

描かれている状況も、中学生同士が殺し合うという、一見俗悪なものですが、突き詰めてみれば、映画「CUBE」のような、「異常な状況に陥ったら、人間はどう行動するのだろうか」というテーマにも通じるものがあると思います。実際、私も「この状況ならどうするんだろう」と思いながら読んでいましたし。
映画版がどのような展開になっているのかは未見なので分かりませんが、これを中学生に見せないようにする、というのはあまり賢いやり方ではないような気もします。むしろ観て(読んで)、そういうことを考えて欲しいかな、と思ったり。

というわけで個人的にはお薦めの一冊(上下巻ですが)。

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2004年03月17日

宿命の囁き(上下)レビュー

マーセデス・ラッキーのヴァルデマール年代記シリーズ。
今回はタルマ・ケスリーのあとの時代、「女王の矢」(絶版)やケロウィンの「剣の誓い」の少し後のあとに当たる話。ケロウィンも登場。
女王の矢シリーズは、社会思想社が無くなってしまったので、続きが読めないのだけど、続編に近い物が出るのはうれしい。

女王の矢にも登場したヴァルデマールの王女エステペスと、「鷹の兄弟」の一族の青年「暗き風」が主人公。二人の話が交互に語られ、次第に関連していきます。
珍しく(片方だけだけど)男性が主人公ということでちょっと新鮮かな。この作者の女性主人公、嫌いじゃないんだけど、どうもキャラ的に似すぎてる気もするので(現実主義の傭兵という役どころが多い)、そういう意味では「暗き風」編のほうがよかった気もする。

3部作の1作目ということで、この話では物語は完結しません。ようやく二人が出会ったところまで。
とりあえずこれからに期待です。

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2004年03月01日

Sunday Special Peanuts Series SNOOPY 9巻レビュー

毎週日曜に新聞で連載されていた、通称日曜版スヌーピー(ピーナッツ)。
(変則)4コマのデイリー版と違い、3列分の長めの作りが特徴。

8巻ではちょっとパワーダウンかな、と思っていたけど、9巻は色々面白いネタが多くて良かった。
今回では選手交代の話とか学用品を買いに行く話、イグルーの話とかすごく良かった。

残りあと1巻。刊行がちょっと遅れ気味なのが気になりますが、楽しみにしてます。

投稿者 だいすけ : 10:39 | コメント (0) | トラックバック 本レビュー

プラネテス レビュー

アニメ化もされたSF漫画。
近未来、宇宙開発に伴い、地球軌道上に投棄された様々なゴミ「スペースデブリ」を回収する作業員たちの物語。
宇宙の危険さを真面目に描いた表現など、SF好きにも受け入れられる内容だと思います。
後半から、ちょっと話が大きくなってしまうのは好みが別れるところかもしれませんが、宇宙好きなら読んで損はないかと。アニメも合わせて是非。

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2004年02月27日

アルティメットX-MEN 9巻レビュー(ややネタバレ)

アメコミ新潮ブランドから出ている新世代X-MEN。

8巻で復活したマグニートーがふたたび旧人類に対して宣戦布告し、また、マグニートーを匿っていたX-MENたちも人類から狙われることになる。

……とまあ、この手のアメコミにもはやストーリーの妙とかは期待してないのですが。どうしてこう、同じことの繰り返しになるんだろう。
とりあえずアメコミは絵とシチュエーションだけ期待して読むことにしているので、まあ良し。

今回の目玉はアルティメッツとのクロスオーバー。キャプテン・アメリカ、アイアンマンたちとX-MENが対決します。ほんのちょこっとだけですが、ハルクも出てます。

今回は絵が一人で統一されていて違和感なし。この人の絵柄は嫌いじゃないし。

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2004年02月26日

スヌーピーの50年 世界中が愛したコミック「ピーナッツ」レビュー

同じタイトルでいくつか出てますが、2001年に出た2000円のもの。他に7000円の愛蔵版、700円の文庫版があります。

日本では「スヌーピー」として認知度の高いコミック、「ピーナッツ」連載50周年を記念して作られた書籍。作者シュルツ氏のコメントと共に、50年間の歩みを振り返ります。もちろん、その時代ごとのコミックも選り抜いて収録されていて、キャラクターたちの変遷を知ることが出来ます。

日本で手軽に入手できるコミックは、大概が80年代以降の作品を掲載したものですし、かといって正直50年代のものを全て見るのはつらい(60、70年代は全部読みたいなあ)ので、こうやって要所を抜き出したものがあるのは非常にありがたいです。まあ、初めてチャーリーブラウンやスヌーピーが登場する回などは、他のコミックでも掲載されているので新鮮味はないですが……。
気になる形式は、シュルツ氏の手書きフキダシとセリフをそのまま残し、コマ外に翻訳されたセリフを載せるという定番方式。

各年代ごとのシュルツ氏の解説も興味深く、ちょっと気むずかしそうなその人柄にも触れることができます。
資料的価値は大きいかと。値段も手頃ですし。

【参考リンク】
朝日新聞社・BOOKアサヒコム
スヌーピーの50年 世界中が愛したコミック「ピーナッツ」

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2004年01月13日

小説:エイリアン黒死帝国(上・下)レビュー

(メインサイトの移植版です)
菊地秀行のトレジャーハンター八頭大シリーズ最新刊。
「魔神国」で一旦終了し、「蒼血魔城」で復活した2作目。この巻から挿絵が天野喜孝から柴田昌弘に。

今回は、人類のミッシングリンクである類人猿のミイラを巡る冒険なのだけど、そのミイラの呪いで主人公はほとんど身動きが取れなくなってしまう。そこで登場した新キャラ牙鳴譲が大活躍、というお話。
あとがきを読むに、この牙鳴を主人公にした外伝シリーズを始めるために書いた作品でもあるようで。

内容自体はややキャラを食われてる印象があるものの、いつも通りの雰囲気なのだけど、昔ほど楽しめないのは自分が変わったからか、シリーズに間があいてパワーダウンしたからか。どっちもかな。

しかし主人公、まだ高校生かなあ? サザエさんワールドに突入(笑)。
軽ーく読めるのでまあ時間つぶしに。

投稿者 だいすけ : 00:37 | コメント (0) | トラックバック 本レビュー