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2005年08月18日

SAMURAI JACK episodeXXX~XXXIX感想(ネタバレ)

サムライジャック残りを一気にダイジェストで。
例によってネタバレが含まれるのでOKな人だけ追記をどうぞ。

Ep.XXX
アクーの策略で墓地に誘い出されたジャックは大量のゾンビに襲われ、ついには魔力の刀をアクーに奪われてしまう。

ほとんどストーリー展開はないに等しいんですが、アクションが秀逸。静と動を上手く抑え、全編見せ所と言っていい動きを見せてくれます。彩度を抑えた画面構成も渋くていい感じです。
後半はアクーとの直接対決。刀を奪われたジャックの防戦も見どころ多し。
今回久しぶりに魔力の刀についての話が出てきますが、そういえばその辺の掘り下げってあまりなかったですね。色々話が作れそうなネタだけに少しもったいないかな(Ep.XXXVIIIで語られますが)。


Ep.XXXI
かつてのエジプト(風の)神殿にさしかかったジャック。そこはかつて、修業時代に彼が過ごした神殿だった。しかし、アクーはすでに、そこに封じられていた「セトのしもべ」を呼び起こし、ジャックを待ち伏せさせていた……。

この話もアクションが冴えてます。しかも今回はジャックがとても適わないほどの強敵、神話級のモンスター。で、どうするかと言えば、攻撃をかわしながらの謎解き。これもなかなか神秘的な感じです。
そして全てのクエストを解いたジャックの前には、まさに神が降臨! 物言わず、容赦なく威厳のある姿は畏怖さえ感じられます。ちょっとウルトラマンとかも想像させますね。高次の存在はおいそれとは人間とは交流しないのです。


Ep.XXXII
言い伝えを手がかりに神秘の湖にたどり着いたジャックは、そこで不思議な巨獣と遭遇する。彼の試練を乗り越え、認められたジャックはついに時間の門にたどり着く。しかしそこには、何人たりとも通さない門番が待ちかまえていたのだった。

コートを着た門番がカッコいいです。本人曰く、何万年も誰も通さなかっただけあってジャックもついには敵わず。
しかし最後に、門番は意味深なセリフを発します。「『まだ』通せない」。そして王者の風格を備える壮年の男のビジョン。はっきりとそうとは語られませんが、この姿はジャックでしょう。ということは、この未来世界でジャックはまだやることがあり、それを果たすまでは過去へは戻れないということでしょうか。
おそらく、この時点でジャックが過去に帰っても、アクーを倒せない(封印は出来ても、滅ぼすことが出来ないとか)のでしょう。未来世界でその鍵を掴まない限り、門番はジャックを帰さないし、それが成し遂げられたときが、ジャックが過去に帰るときなのでしょう。
個人的には、この話を最後に持ってくれば、一応の最終回として格好が付く形だと思うのですが、なぜか真ん中へんに配置されてます。惜しい。


Ep.XXXIII
とあるオアシスでジャックが出会った奇妙な生物は、すっかり彼になついてしまい、旅に同行することになる。そして旅路の末、ついにジャックは魔力のクリスタルを発見する。

えー、いろいろなところで言われてるとおり、この生き物、どう見ても「トトロ」ですね。頭は弱そうですが(笑)。
でまあ色々あって、こいつのせいでクリスタルは破壊されてしまうんですが、そのあたりがやや唐突。そして珍しく大荒れするジャック。そういや頭身もいつもと違うような。
そんなせいで一部では「この生き物ジャックの妄想」説まで流れてますが(笑)。そう考えると、次の話ではもうこいつがいないのも説明がつくので、妙に納得してしまいます。


Ep.XXXIV
噂を頼りに沼の老人に会うジャック。彼が言うには、クロノスの3つの宝石を集めれば、時間旅行も可能になるとのこと。老人の言うとおりに宝石を集めるジャックだが……。

まあ、ぶっちゃけこの老人はアクーの化けた姿なんですが、絵を見て分かるとおり、どう見てもバレバレです。なので観てる方は、「あ~、またジャックだまされてるよ……」とか思うんですが、最後の最後でジャックは知ってて協力していたというオチが付きます。ジャック、成長したなあ……。
でもまあ、この宝石、もう出てこないんですけどね! ギャフン!


Ep.XXXV
森に一人で泣いていた子供を追って、ジャックが迷い込んだ廃城。しかしそこには妙な雰囲気が立ちこめていた。時折フラッシュバックする見知らぬ記憶、消える出口。そして、ひとつだけ現れた、被害のない家族が暮らす部屋。果たして……

この話はホラー風味。荒れ果てた古城の中で突然挿入される墨絵風のカットは、観ていてドッキリさせられます。そしてついに現れた、竜の形をした暗黒の雲にとらわれるジャック。内部世界はハレーションを起こした白い空間と墨絵のキャラクターのみ。かなり雰囲気が出てます。
異色エピソードながら、スパイスがきいていていい話だと思います。


Ep.XXXVI
ジャックを突然襲う二つの影。その正体は、青年時代に修行した少林寺の末裔だった。そのころから生き続ける高僧の導きの元、ジャックと二人は隠された寺院に向かう。

修業時代のロケーションが再び登場します。今回は中国風。ということで二人の修行僧の動きも結構本格派。見てて違和感を感じません(あくまで門外漢が見て、ということですけど)。
後半は寺院の壁面に張り巡らされた足場でのバトル。左右に幅がない代わりに、上下に動き回るという仕掛けで、戦いにも変化を付けて飽きさせない工夫が光ります。
ラストはまたもや人情をとるジャック。ヤキモキしますが、まあこれもジャックの美点と割り切ることにしましょう。


EpXXXVII「アク誕生の秘密 前編」
初めてタイトルが付いたエピソード。原題は「The Birth of Evil」。アクーの誕生秘話が語られます。文字にすると「アク」になってますが、ここでは劇中の呼ばれかたどおり「アクー」で通します。
何億年もの昔、宇宙に誕生した不定形の闇。それに対するは三柱の神々。彼らに討ち滅ぼされた闇の塊だが、その切れ端は消滅せずに宇宙を漂い、やがて地球に落下する。

アクーの出自が明らかに。かつて神々と渡り合った存在の一部だったんですね。強いわけだ。そのかけらは地球に落ち、恐竜絶滅の原因となります。すごい。伝奇SFっぽい。
しかしこの話、描写の有無はあれ、死のイメージに満ちてます。直接描かれる恐竜たちの死はもちろん、時代が流れて黒の沼に引きずり込まれる人々、そしてさらに後での、次々に姿を消すジャックの父の軍勢。静かな描写だけに、より恐怖感を煽るシーンです。
前編は、ジャックの父がよみがえった(というか初めて今の形となった)アクーに敗北し、都が炎上するところまで。

余談ですが、冒頭に出てきた神々の正体を探ってみます。
北欧風の神はオーディーンでしょう。隻眼ですし。乗騎は8本足の馬、スレイプニル(彼は後編でも出てきますね)。エジプト風の神はEp.XXXIでも登場したラー(諸説あるようですが、「最高神」と言うところからも、ここでもラー説を推します)。おそらく乗騎はセベク。インド風はおそらくインドラ(これも最高神と言うところから。また、ゾウに乗っているという描写も手がかりに。さらには、ラピュタの「インドラの矢」という安直な連想も(笑))。乗騎はアイラーヴァタだと思われます。
どの神様もトップクラスの神格です。滅ぼされたとは言えそれと渡り合ったアクーの本体。すさまじい存在です。


Ep.XXXVIII「アク誕生の秘密 後編」
前回の続き。アクーにとらわれたジャックの父の前に、神の乗騎スレイプニルが現れる。神馬に導かれた彼は、遙か天空のいただきにたどり着き、そこで冒頭の三柱に仕える三人の僧侶と出会う。裡の正義の心を取り出され、それを刀の形に鍛え上げた僧は再びジャックの父に授け、アクーを倒す手段とする。

1話でも語られた刀の出自が描写されます。このあたりの話はEp.Iを基本的になぞっているのですが、実際あった出来事を描写しているこの話に対して、1話では本人の主観として描かれているため、色々情報が変わっている(という作りになっていて)上手いなあと感じました。もちろんこっちが後付けなんですが、それを感じさせない出来に脱帽。
他にも色々Ep.1と対応する場面(刀を投げてアクーを刀身に封じるシーンなど)があって、この話を見たあとに1話を見ると違った見方が出来て面白いです。前後編合わせて、傑作エピソードに入れたい話でした。


Ep.XXXIX
人々を救ったお礼に、時を越える魔力を持ったエネルギーを守る遺跡の情報を得たジャックは、忍び装束でピラミッドに潜入するが、時を同じくしてトレジャーハンターの伊達男も、ハイテクを駆使して別の入り口から忍び込んでいた……。

噂の「次元(ルパン三世の)もどき」の登場です。ご丁寧に声まで同じ。
忍者スタイルと体術でトラップをかいくぐるジャックに対して、ハイテクでクールに乗り越える男のシーンが交互に挿入されて面白いです。音楽も男のシーンではスパイ風の洒落たメロディになりますよ。ジャックのローテクアイテムも、考証がそれっぽい感じで渋い。
で、色々あって出し抜き出し抜かれしつつ時折共闘、というライバルチックな展開で進みます。このキャラもこれっきりは惜しいなあ。エゼキエルと共にセミレギュラー化して欲しい。
最後はなんだかんだあってダイヤは手に入らず。ジャックももう慣れっこです。


……とまあ、これで新作エピソードは終わり。つづきは……え、予定なし!? マジスか……。

投稿者 だいすけ : 2005年08月18日 15:02 洋アニメ・漫画 /SAMURAI JACK

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コメント

スッゴク絵が上手ですし、俺もSAMURAI Jackの大ファンなんでーす
なのでネタバレかまいませんよ。
全部しってますんで。

投稿者 チェイン : 2007年11月04日 13:26

JACK、とりあえずこれで終わってしまったので、続きはないですね~。一時期映画化(?)の噂とかもありましたが。
メインスタッフが抜けてしまったので、あのクオリティで続けていくのは難しいんでしょうね。残念ですが。

投稿者 だいすけ : 2007年11月05日 10:57

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