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2004年09月28日
カラシニコフ レビュー
朝日新聞に連載されていたドキュメンタリーの単行本化。
堅牢で単純な構造故に、どんな悪状況下でも難なく作動し、短期間の訓練で誰でも扱えるようになる傑作小銃、AK47。
設計者の名を取ってカラシニコフと呼ばれるその銃は、かつてドイツから故国ソビエトを守るために作られました。
しかし、そのタフさ、容易さ故に戦後紛争地域に大量に送り込まれ、テロリストの手に、そして少年兵達の手に渡っていき、AKは悪夢の銃と化します。
この本はそんなAKを巡る話。
11才でテロリストに拉致され、暴行を受けた上に少年兵として仕立て上げられ、3人を殺させられた少女。
現在も存命で、AKを設計したことを誇りに思いながらも、現在の状況を憂うカラシニコフ氏。
そしてAKが活躍するクーデター国家、治安もなく、教育も医療もない「失敗した国家」。
それらの影には常にAKの影がつきまとい、いともたやすく人の命を奪っていきます。
しかしそこには、自らの力でこの状況から脱却しようとする人々の姿も、確かに存在しています。
銃の所持を管理、コントロールし、治安を回復させ、国際社会から無視されながらも自力で公共インフラを整えていく人々。
それらとは一見縁遠い生活を送る我々も、「失敗した国々」や、更正しつつある国々との関わりを通して、大きくそれに関与している。
この本はそんなことに気づかせてくれたきっかけのひとつです。
ちょっと堅苦しくて真面目すぎるレビューですが、そうさせるだけの現実がそこにはある、と強く感じずにはいられません。
朝日新聞「カラシニコフ」のページ
amazon「カラシニコフ」
投稿者 だいすけ : 2004年09月28日 01:34 本レビュー
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» 紛争地に自分の銃 from 不安障害な社長日記
紛争地に自分の開発した銃が沢山ある。その銃が罪のない人々の命を奪っている。あらゆる環境に強く、操作も簡単な自動小銃AK47の開発者であるミハイル・カラシニコフ氏は85歳の誕生日を向かえ、、「中国などがライセンス切れにもかかわらず、AKの製造を続けている。それが紛争地に出回り、AKの評価を落としているのは悲しいことだ」とのコメントを残した。
この自動小銃は扱いが非常に簡単であるため、アフリカなどの紛争地ではチャイルドソルジャーがよく使用している。この自動小銃を手に持ち遊んでいる子供たちの写真などはよく見る光景だ。それ故沢山の子供たちが戦争に動員され、幼い間に命を落としている。なんと残念なことであろうか。
asahi.com
「紛争地に自分の銃、悲しい」自動小銃AK47の開発者 [続きを読む]
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