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2004年02月24日
「サタスペREmix+」レビュー
今回はテレビゲームではなくてテーブルトークRPG「サタスペREmix+」のレビューを。
長くなるので、ここではいちいち、「テーブルトークRPGとは」なんて話はしないので、知らない人はググってみてください。
世界観
60年代に起きたアメリカとの戦争に敗れ、分割統治されている日本を舞台に、チープな犯罪者となって日々を生き抜く、というのがゲームのコンセプトです。
クライムもの、といっても悲壮な暗い雰囲気ではなく、ドタバタとした感じで、ノリとテンポ良くプレイするのが基本。
世界観的には「スワロウテイル」をベースにジョンウーやタランティーノ、ロドリゲス成分をふんだんに振りかけたイメージ。バカ映画、漫画のパロディ要素も多いです。
独特なシステム
「情報収集ルール」
サタスペでは、ストーリーの核心に迫っていく情報ルールを、ゲーム的且つ抽象的に表現しています。「どこどこへ行って誰々にこういう話をする」というのではなく、キャラクターの能力値とダイスによって解決していきます。イメージ的には刑事ドラマなどの、テーマ曲がかかりつつ身振りで聞き込みしているシーン、という感じで。
ダレがちなダンジョン探索を、このルールで代用するのも可能。
「恋愛ルール」
恋愛をルール化、といってもピンと来ないかもしれませんが。どちらかというと、ファンタジーRPGなどの魔法のひとつ「チャーム」を誰でも使えるようにした、という感じでしょうか。これで敵(時には味方)を「誑(たら)し込む」というのが、「いかにも」な感じです。下手をすると、仕掛けた側が相手に惚れてしまうという「甘い罠」も。
「競争ルール」
クライムものではチェイスシーンも欠かせません。これもルール化してます。難易度の競りと判定で距離が縮まったり離れたり。もちろん失敗したらクラッシュの可能性が!
「徹底したチャート化」
キャラクター作成時などに、出身や性別、果ては名前までをもダイス目で決めることも可能(もちろん、自由に決めても可)。これによって、キャラクター作成がスムーズに進むだけではなく、生まれのままならなさが味わえます。逆に能力値は振り分け方式にして、スペシャリスト化が計りやすくなっています。
「罪業」
キャラクターには、異能という特技を持っています。これはD&D3rd.で言うところの特技(フィート)で、これにより限定的ながら、キャラクターは超人的な能力を得ることができます。ただし、異能を取得する際に、同時に弱点である「代償」も取らなければいけないため、単なるパワーアップではないところが悩ましいところ。
「スピークイージー」
サタスペでは、プレイ後の感想ミーティングがルール化されています。これによって各キャラクターの成長が決められるので、とても重要。この結果で「用心棒」や「色事師」、果ては「ダメ人間」までのパッケージが割り振られ、獲得できる異能や代償が決定します。プレイ中のアピールが重要視されるところです。
その他気になる点など
これらの、冗長になりがちな部分を省き、プレイを楽しむことに特化したシステムは斬新で、世界観と合わせて魅力的な作品ですが、気になるところもないわけではありません。
このゲームの判定は、「サイコロを2回振り、その合計が目標を超えれば成功」というものですが、能力値が高いと、それを試みる回数が増えるというシステムになっています(もちろん、成功した回数が多いほど大成功になる)。そのため、状況によっては「12回振って4回成功する」などを求められたりするのですが、そうなるとサイコロを振った回数と成功した回数をカウントしていく必要が出てくるため、判定行為が面倒になってきます。この判定方法は、システムに深く関わっているため、安易に変更することもできず、根本的な問題となっている気がします。まあ、沢山ダイスを振るのは、それはそれで楽しいのでいい気もしますが……。
ちなみに戦闘ルールはかなりデッドリー。チームに死人がでることも珍しくありません。まあ、2流、3流のチンピラですし。ルールブック裏表紙に大きく書かれている「生きててよかった!」の文字は伊達ではありません(笑)。ささやき、いのり、えいしょう、ねんじて、致命傷判定表、通称「14番表」を振れ!
【参考リンク】
・サタスペREmix+公式サイト
投稿者 だいすけ : 2004年02月24日 19:34 ゲームレビュー
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