Falloutリプレイ tMfV:Log18「BoS」

「すばらしい! よくやったぞ君ィ!」
キャボットは俺たちの持ち帰ったデータを見て、もみ手をせんばかりの態度で上官に報告しに行った。
程なくバンカーの扉が開かれ、エレベーターで内部へと招き入れられる。

「パワーアーマーの詳細仕様やFEVの研究資料、君の持ち帰ったデータは、失われた技術を大いに復活させるものだ。正直言って、期待以上の成果だよ」
バンカーの最下層で俺たちを出迎えたのはブラザーフッド・オブ・スティールのリーダー、マクソン将軍だ。


「まあ、俺たちにかかればこの程度は軽いもんだな」
背後に剣呑な視線を感じながら俺は嘯く。視線の主はBoS連中ではなく、イアンとタイコだ。


ZAXとの邂逅後さらに研究所の深部を目指した俺たちは、ほぼ完全な形で保管されていた武器庫を発見した。ミニガンやレーザーピストルはもちろん、Vaultでもお目にかかったことのない、P94プラズマライフルまであった日には、致死量を越える放射線の嵐の中を強引に突破してきた甲斐があったというものだ。
ただし、この武器庫にアクセスするには主動力を回復させる必要があり、そうなると当然休眠状態にあったセキュリティも復活することになった。豊富な武器があったから何とか切り抜けられたものの、祖父の形見のレザーコートを穴だらけにされたタイコや、あわやまたぞろリハビリ生活、という場面もあったイアンの視線が冷たいのも致し方ない。

「この働きは、われらがブラザーフッド・オブ・スティールに入門を認めるに充分だ」
そんな水面下のやり取りなど露知らぬマクソンはにこやかに手を広げた。
「それじゃあ……」
「無論、パワーアーマーの着用も認めよう」
ここまでは予定通りだ。しかしこれで終わりにはできない。

「それと、もうひとつ。俺たちが持ち帰ったデータにあった、移動したFEVの研究施設……」
「マリポーサ空軍基地の件か」
「そうだ。最近のスーパーミュータントの活発な行動、方角や経緯を考えると、その基地が拠点である可能性が高いと思う」
「なるほど。私も確かにそう思う。だが、BoSは予断や推測で動くわけにはいかんのだ。確たる証拠が必要になる」
諭すようにマクソンは言う。
「つまり、俺たちに基地を偵察して来い、と」
「そうなるな。それにこのことはBoSの一員になった以上、お互いの目的にかなっていると思うが?」
タヌキジジイめ。組織は変われどリーダーってのは同じ人種だな。
しかしともかく、BoSを動かすにはそうするしかないし、俺としてもいきなり攻め入る愚を犯すつもりはない。

「同意ととってよろしいかな? それではパワーアーマーの着装訓練課程を終えたらすぐにでも出発してくれたまえ。それと……」
出て行きかけた俺たちにマクソンが付け加える。
「BoSにようこそ。ブラザーテオ」
歓迎どうも。しかし『ようこそ』はこちらのセリフだ。

ようこそ戦争へ。

(Log18:EoF)