Fallout 1なんちゃってリプレイ Vaultから来た男:Log03「砂丘」

上半分が青、下半分が茶色のツートンの世界。
その真ん中で、陽炎の中、誰かが踊っている。
ウェストがきゅっと締まったグラマラスな体つき。
涼しげな透明のボディは太陽の光を受けてキラキラと輝き、俺を誘っている。
俺はガラス瓶に駆け寄り、一気に中身をあおる。

俺は激しく咳き込み、げえげえと砂を吐いた。
口の中にわずかに残っていた水分も、砂に吸われて大地へと消えた。



ファーストコンタクトは失敗に終わった。
ネズミがいたくらいだから、おそらく人間も生き残っているだろうとは予想していた。
こんな世界だろうから、友好的な人間ばかりではないだろうとも。
それでもまあ、交渉は得意な方だったから、話さえ通じれば、何とかなるだろう、運が良ければ情報や食料が手にはいるかもしれないと考えていた俺は、それがいかに甘い考えであるかを思い知った。

Vaultを出て3日目、初めて出会った人間は、俺を食料と見なし、自己紹介の間もなく鉛玉を寄越してきたのだ。
這々の体で逃げ出し、何とか追っ手を撒いたのは良いものの、バックパックに受けた流れ弾のおかげで、食料の大半を失ってしまっていた。何より命綱の水筒に穴が開いていたのが痛い。


目的地のVault15までは、まだ半分も来ていない。このままでは渇いて死ぬか飢えて死ぬか。この際あの洞窟のネズミみたいのでもかまわない、何か食料を調達しなければ、俺もエドの仲間入りだ。

気力を振り絞って立ち上がり、足を引きずり砂丘を昇る。砂丘の向こうに砂丘を発見し、下って、昇る。丘の向こうに何かを期待し、破れてまた下り、昇る。

日は昇り、また沈む。灼熱の昼から、極寒の夜へ。機械的に歩を進め、砂丘を昇り、また下る。
この丘の向こうに、今度こそ何かが――
そこでぐるりと世界が回転し、俺は暗黒の世界へと滑り落ちていった。





茶色一色の世界。
ハミングが聞こえる。壊れたジュークボックスみたいに、同じフレーズの繰り返し。先がある筈のに、続いていかない。もどかしさが延々と続く。拷問だ。
「……勘弁してくれ……」
思わずつぶやくと、ハミングが唐突に止まる。
そして茶色の視界――土造りの天井――にぬっと現れるぼやけた顔。

「気がついたみたいね。ようこそシェイディサンズへ、旅人さん」
ハミングの声で、少女は言った。


(Log03:EoF)